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ファンにもオタクにもなれない

池田大輝
·
公開:2026/7/4

素敵だなと思う人に出会うと、その人のファンやオタクになるのではなく、その人と同じ景色を見たいと思ってしまう。新海誠監督の『秒速5センチメートル』を初めて観たのが2015年。それからすぐに自分でアニメをつくり始めた。新海さんがかつて在籍していた日本ファルコムというゲーム会社の『英雄伝説 零の軌跡』を友人に勧められてプレイして、その2年後くらいにファルコムに入社した。ファルコムを辞めたあとは自分でもゲームをつくるようになった。その後、お笑いコンビのジャルジャルにハマった結果、一緒にコントをさせてもらったし、サンミュージックのお笑い塾にも3ヶ月間だけ通った。小説家の森博嗣は、デビュー当時、名古屋大学の助教授で、研究者だった。これに関しては追いかけたつもりはないけれど、事実として今、私も研究職に就いている。

とにかく、そんな人生である。ただ外側から応援するということができない。その人が見ている景色を見てみたくなる。同じ服やグッズを揃えたいとは思わない。その人が味わってきたものを、自分も味わってみたいと思ってしまう。ファンやオタクにはきっと向いていないのだろう。

そんなふうに生きてきたから、自分というものをどこに位置付ければ良いのかずっとわからずにいた。今もわからないのだけれど。ただ、色々やってみると、たとえジャンルが違っても、その中心には何か共通点があるように思えてくる。言葉にするのは難しいけれど、あえて言葉にするならば、世界をつくる、とでもいえば良いか。新海誠やファルコムのゲームをご存知であれば、なんとなくわかるかもしれない。ああいう壮大な世界をつくるのが好きなのだ。逆に、すでにある世界の住人になることにはあまり興味がない。その創造主に仕えたいとも思わない。ものすごく極端にいえば、他人の世界に興味がないのだ。

創造主になりたい、という欲望はあまりない。世界を支配したいだとか、他人に好かれたいだとか、そういう気持ちは特にない。ただ、それなりに満足して生きる手段として、創作を選んでいるという感じ。あとは、すでに生み出してしまった世界がある以上、その維持運営を当面は続けなければならない。まさに今、その増設工事で大忙しである。

そういえば最近、また新たなチャレンジを果たしたところだ。ひとつはつい先日終わったばかりで、まさかこんな日が来るなんて夢にも思わなかったけれど、多少強引に夢を叶えた形である。やっぱりプロはすごいなあと思った。もうひとつは、絶賛悩み中である。新たな世界を生み出すには勇気が要る。始まってしまえばあとは突き進むだけなのだけれど。というわけで、私のファンだと思う人は、良かったら応援してください。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink