生きるためにはお金がかかる。養われているのでない限り、お金を稼がなければ生きることができない。だから、みんな仕事をする。創作にもお金がかかる。私の場合、そのほとんどは声優費用と楽曲費用だ。そのお金を稼ぐために、あらゆる手段を試している。
理想的なのは、作品の売上で賄うことだ。売上で投資分を回収して、余剰金を次回作の予算に回す。長期的にはそのサイクルに乗せていきたいが、今はそうはなっていない。もっと頑張らなければならない。他の手段としては、補助金の類がある。創作活動に必要な経費について、国からお金が支給されるのだ。今年の4月くらいに、経済産業省の補助金に申請したが、こちらは落ちた。5月には、同じ企画を文化庁の補助金にも申請して、今は結果待ちである。
公的なお金には、できれば頼りたくない。理由としては、継続性がないことが大きい。まとまった金額がいただけるのはありがたいけれど、それさえあれば安泰、とはならない。仮に100万円補助されたとして、それだけでスタートダッシュを切るのは簡単ではない。そもそも、こういうのは受かる確率が低い。その割に準備は大変であるから、単純に割に合わないというのもある。とはいえ、出さずに文句を言うのも嫌なので、とりあえず応募してみた次第。
ところで、私の出身大学の繋がりで、研究者をやっている人の話をときどき聞く。研究者も、同じように補助金に応募しているらしい。研究のために提供される資金はグラントと呼ばれる。これは人に依るかもしれないけれど、研究者は、とにかくグラントに応募しまくっているらしい。大学の先生であれば、大学に割り当てられている交付金だけでは足りないのだろう。年中、グラントに申請している先生も珍しくない。
似たような仕組みとして、芸能の世界には、オーディションというものがある。昨年末にリリースした恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』で、初めて声優オーディションを実施した。詳細は省くが、選ばなければならない立場でのオーディションというものは、なかなかに大変で、刺激的な体験であった。この世界では、オーディションは日常茶飯事らしい。オーディションに落ちたとか受かったとか、SNSで報告している人も少なくない。
お金を集めるのは大変だ。創作において、いや、生きるうえで一番大変なことだと思う。安定した仕事に就きたいという気持ちを、最近になってようやく理解した。とはいえ、そういう仕事は私には合わなかった。やってみたけれど、できなかったのだ。じゃあ、できることをやるしかない。その一つが創作である。だから、創作を続けている。
資金調達は苦手だ。できればやりたくない。それでも、やりたいことをやるためには、どんな方法であれお金を、チャンスを掴まなければならない。研究者の先生方や、声優さんたちを見ていると、自分ももっと頑張らなきゃと思う。