そろそろ限界

池田大輝
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公開:2025/10/27

ポイントは「そろそろ」という部分。すでに限界を迎えていたら、こんなエッセィすら書けない。本当に限界を迎える前に、こうしてSOSを出せるのは私の良いところだと思う。生きるのが苦手な割にはしぶとく生きている。たまには褒めてほしいなあ。なんて軽口を叩くから、いまいち本気に受け取ってもらえないのかも。映画の中で死ぬ人間は、たいてい死ぬ直前に軽口を叩く。ハリウッド映画を観て育ったから、癖になっているのかもしれない。死ぬのは全然怖くない。けれど、まだまだ死ぬわけにはいかない。やり残したこと、やりたいことがたくさんある。こんな風に書くと、病んでいる、なんて思われがちだけれど、どんなヒーロー映画でも、中盤にこういう展開は必ずある。最愛の人が死んだりする。それに比べたら、どれほど牧歌的なことか。

病んでいるのではなく、限界なのだ。1トンの重石を背負うことはできない。いま、100キロくらいの重石を背負って、フラフラになりながら歩いている。もしも、強がりを続けていたら、3日くらいで死ぬと思う。大袈裟、あるいは心配しすぎかもしれないけれど、死んだことがないから予測するしかない。無理をして亡くなるクリエイターは結構多い。安全を見るに越したことはない。

みんな、よく生きていられるね。本当にすごいと思う。生きることがいちばん難しい。言い換えれば、生きてさえいればなんだってできる気がする。苦手なことは頼れと言うでしょう。ならば、生きることを手伝ってほしい。それをどう頼めば良いかわからないんだけど。というわけで、私に死なれると困る人は、生きるのを少しだけ手伝ってほしい。思いつく一案としては、美味しいおでん屋さんに連れて行くとか。食事やお金に困っているわけではない。寂しいとか、話を聞いてほしいのでもない。ただ、限界なのだ。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink