早く結婚しろと誰かが囁く

池田大輝
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公開:2026/1/19

世間体が、とか、年齢が、みたいな話ではない。早く結婚しろと言われても無視する。そういう、外圧の話ではなく、もっと私の中の、内圧の話。私は結婚したことがないので、結婚するとどんな良いことや悪いことがあるのかを知らない。それに、いまは到底、結婚している場合じゃない。やるべきことが多すぎて、それどころではないのだ。

にもかかわらず、早く結婚しろと誰かが囁く。もしかしたら生物学的な本能かもしれないし、不安や寂しさを言い換えているだけかもしれない。あるいは、もうひとつの解釈としては、来るべき波乱の未来を、一人では乗り越えられないという神様のお告げかもしれない。なんとなく、最後の可能性が尤もらしい気がしている。

この数年で、人生が激変した。良いことも悪いこともあったけれど、トータルで見るときわめて良い方向に向かっている。できるはずがないと思っていたことが、次々と現実になっている。でも、まだまだここからだ。ようやくスタートタインに立ったところ。やりたいことはたくさんあって、それをいかに実現するか、計画を立て、実行している。

そこへ行くためには一人では無理だ、と、心が直感したのだろう。あれもこれも一人で抱えるフェーズは過ぎた。かと言って、ベンチャー企業みたいに、誰でもいいから人を増やせ、というのも違う。そうではなくて、この先の人生を、ともに歩む相手が必要なのだ。利害がそこそこ一致して、互いを尊敬し合えるようなパートナーが必要なのだ。背中を預け合いながら、それでも同じ未来を見ている相棒が必要なのだ。そういう役割を結婚相手に求めるべきかどうかは知らない。けれど、少なくとも、私から創作を抜いたとして、誰が結婚したいと思うのかは謎だ。一生かかってもやり切れないほどの企画があり、一生をかけても絶対に叶えられない夢がある。そういう人生を、生きなければならない。

どんな人と結婚するのかはわからないけれど、でも、なんとなく、思うところはある。どうも私は、夢を叶えるためならば、手段を選ばない人間らしい。あるいは、最初から決まっているから、そもそも選んでいないのかも。いったいなんのことなのか。私もわからずに書いている。心がこれを書いている。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink