このまま一生結婚できなかったらどうしよう、と思うことがある。たとえば、今日みたいな夜に。結婚しなくても生きていくことはできる。現に、こうして生きているのだから。とはいえ、それでも、このまま一人で生きていくのはちょっとしんどいな、と思わなくもない。寂しいのとも少し違う。結婚したところで、ずっと一緒にいるわけではない。寂しさは、結婚以外の方法でも解消することができる。結婚は、暇つぶしでも気休めでもない。どちらかといえば、重荷である。背負うべきものが増える。大切にすべきものが増える。そういうものを、求めているのだと思う。一人では、誰かのために生きることができない。誰かのために生きたいだなんて、少し前までは思っていなかった。自分とは恐ろしくちっぽけで、つまらない人間だと知ってから、自分以外の誰かが人生の中にいてくれることをうれしいと思うようになった。RPGで、仲間が増えていくようなイメージ。あるいは、アベンジャーズみたいなイメージ。結婚相手は、その中でも特別なキャラクターである。例を挙げるなら、『空の軌跡』のエステルとヨシュアが近いだろうか。仮に自分がゲームの主人公だとした場合、モブキャラと結婚することは、ゲームシステム上、不可能だ。モブキャラから見れば、こちらもまたモブキャラである。つまり、結婚相手は、メインキャラクターでなければならないうえに、こちらもやはり、モブキャラではダメなのだ。ネームド・キャラクターというやつである。結婚には、名前が要る。それは、誰もが当たり前に持っているものではない。名前を獲得することは、自分の人生を生きることである。とすれば、結婚することは、その人の名前を呼ぶことである。好きな人の名前を叫べば、結婚できる、かもしれない。
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