完璧主義を、ここ数年は意図的に辞めるようにしている。のだけれど、なかなか思うようにはいかない。完璧主義を辞めた代わりに、「完結主義」に陥ってしまった。
私一人であらゆることが完結しているように、まわりからは見えているらしい。一人で色々やっていてすごいですね、と。一人で色々やっているのは、そうするしかないからだ。やりたいこと、たとえば作品をつくるという目的があったとき、やらなければならないことは山ほどある。やりたいことをやるために、やりたくないたくさんのことをなんとかしなければならない。自分のやりたくないことが、誰かのやりたいことならば、その人にお願いすれば良い。
あれ? もっと書くはずだったのに、結論が出てしまった。自分のやりたくないことが、誰かのやりたいことならば、その人にお願いすれば良い。つまり、私が「完結主義」に陥っているのは、あれもこれもやりたいからだ。いろんなことに興味があって、後先考えずに手を伸ばしてしまう。誰かが欲しがっているかもしれない果実を、奪ってしまっているのだ。
ぜんぶ手に入れたい気持ちをぐっと堪えて、誰かが果実を摘みに来るのを待つ。「こんにちは」と挨拶をして、たわいもない会話をして、仲良くなったら、イチゴ狩りに誘ってみる。そういうことができるのが、大人というものなのだろう。いつになれば、そんな器用なことができるというのか。
やりたくないことは、お願いする。じゃあ、やりたいことはどうすればいい? あれもこれもやりたかったら、どうするのが正解だろう? 思考が中学生で止まっている私に思いつく最善の方法は、同じくあれもこれもやりたい誰かと果樹園でばったり遭遇して、同じタイミングでリンゴに手を伸ばすしかない。そこからバトルが始まるか、ラブストーリーが始まるかは、出会ったその人次第だろう。