小島秀夫監督について

池田大輝
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公開:2026/3/2

小島秀夫監督のことを私はよく知らない。ゲームをプレイしたこともない。プレイ動画はちょっとだけ見たことがある。あれは、たしかメタルギアソリッド? 「ときメモが好きなようだな」のやつである。

よく知らない、けれど、なんとなく、最近、意識することが増えた。私はもともと映画を撮りたかった。けれど、結果的にゲーム業界に入り、今もゲームをつくっている。あとは、小島監督は、ハリウッド俳優をゲームに起用している。ノーマン・リーダス、レア・セドゥ、マッツ・ミケルセン、エル・ファニングなど。私は最初にゲームを制作したときから、プロの声優に出演いただいている。映画的な芝居をゲームに持ち込むという意味では、やっていることはそこまで遠くないのではないか、と思う。

映画からゲームへ、そして映画的な文法をゲームに持ち込む、という点だけを見ても、似たような人を私はあまり知らない。最近のAAAタイトルは、軒並み映画のようなリアルさが当たり前になっているようだけれど、あれはゲームの枠組みの中で映画的な表現が流行っているという話であって、映画的な思想が根本にあるようにはあまり思えない。その証拠に、デス・ストランディングの劇場映画がコジマプロダクションとA24との共同で製作されている。映画好きの人ならA24がどういうプロダクションかご存知かと思う。この情報だけで、映画化に込めた思いが窺い知れる。

客観的に見れば、小島秀夫監督は、私が目標や理想に掲げるべき人物なのだと思う。同じような(と言うのはあまりにも烏滸がましいかもしれないけれど、あえて言わせてもらう)道を何歩先も歩んでいる。ただ、不思議とそのような感情はない。憧れだとか、畏敬みたいなものはそれほどない。もちろん、軽く見ているわけではない。こんな人は、二人といない。小島監督がどのようなキャリアを歩んできたのかなど、参考にすることが増えた。

程よい距離感、とでも言えば良いのだろうか。私は、新海誠監督に心を狂わされてきた。新海さんは、もともとゲーム会社にいて、独立してアニメーション映画をつくり始めた。小島監督とは逆である。『秒速5センチメートル』に心奪われ、アニメをつくり、映画をつくり、なぜかゲームをつくるようになった。デスストをプレイすれば、あるいは、同じように心を奪われるのかもしれない。ただ、あいにくそのような時間は今はない。ゲーム制作が忙しすぎて、ここ数年はゲームをほとんどプレイしていない。

とはいえ、今後は嫌でも小島監督を意識することが増えるだろう。なんとなく、そんな気がしている。そういえば、小島監督のXのポストがたまに流れてくるけれど、映画の感想とともに自撮りが載っている。これは、小島監督から最も学ぶべきポイントだと私は思う。顔と名前を覚えてもらうことは、人を巻き込むうえできわめて重要だ。マッツ・ミケルセンを呼ぶためには、それくらいしなければならないのだろう。クリエイターで、自撮りを載せる人は少ない。案外、大きな差別化になっているのかも。私は自撮りをぽんぽん上げる勇気はまだない。こうして日々書いているエッセィは、自撮りの代わりと言えなくもない。あるいは、もしも需要があるなら、自撮りを上げることも辞さない、かもしれない。まあ、そのうちやるよ。小島秀夫でさえ、それくらいやっているのだ。自撮りを上げ始めても、嫌いにならないでください。いつも応援してくれてありがとう。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink