『大乱闘スマッシュブラザーズ』というゲームがある。俗に『スマブラ』と呼ばれたりする。知っている人が多いと思うので説明は割愛する。
私は、ど真ん中のスマブラ世代である。初代の64版が出たのが小学生の頃。友達の家でよく遊んでいた。中学年くらいになると、サンタさんがゲームキューブ版のスマブラDXをプレゼントしてくれた。高校生の間はほとんどゲームをしなかったけれど、大学に入り、写真部に入ると、部室にWiiがあり、スマブラXを先輩たちと一緒に遊んだ。最後のスマブラ、スマブラSPECIALが出たのは社会人になった頃だったかな。友達の家でよく遊ばせてもらった。
と、スマブラとともに成長してきたような人間であるが、スマブラ自体はきわめて下手である。ずっと、ボコボコにされ続けたきた。
スマブラが上手い人は、基本的には小さめで、小回りのきくのキャラを使う。スマブラDXでいえば、プリンとか、ネスとか、ヨッシーとか、フォックスとか。プリンの「ねむる」とネスの「PKフラッシュ」を除けば、これらのキャラの攻撃力は低めだ。その代わり、小回りがきくぶん、相手に少しずつダメージを与えられる。そうしてダメージが蓄積したタイミングで強攻撃を撃つことで、確実に吹っ飛ばせるのだ。
これは、マリオカートなんかでも同様の傾向が見られる。上手い人は、やはり小さめの、軽いキャラやカートを使う。重量級に比べると、軽量級は加速が良い。トップスピードでは劣るが、トップスピードに至るまでの時間が短いのだ。
小回りがきくこと、言い換えれば、失敗したときにすぐに復帰できることが、ゲームにおいて有利なのだろう。これは、人生でもおそらく同じことが言える。ダメージを受けたり、失敗したときに、すぐに立ち直れる力。小さな成果を地道に積み重ねていく力。致命的な一撃を喰らわないように、軽やかに立ち回れる力。どれも、人生が上手くいっている人に備わっているように見える。実際に、スマブラが上手かった友人たちは、概ね順風満帆な人生を送っている。少なくとも、スマブラが上手かった人で、人生が破滅している人を私は知らない。
私? 私はDX時代からクッパ使いだった。超重量級である。攻撃は、スマッシュとヒップドロップだけ。小難しいテクニックはわからない。ちょこまか動き回る奴らを、一撃で、ぶちのめす。ずっとそうやって戦ってきた。これからもそうやって戦うだろう。たとえそれが不利だとしても、クッパにはクッパの戦い方がある。クッパにはクッパの戦い方しかない、ともいえる。