生活力を上げたい

池田大輝
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公開:2025/9/27

できることなら、生活やお金のことなど考えず、好きなようにものづくりをしていたい。けれど、当然、そんなことはできるはずもなく、創作活動を安定して継続するためには、最低限の生活基盤が必要になる。ということを、この1年で思い知った。

とはいえ、別に生活力がないわけではないと思う。なにせ、10年以上、一人暮らしなのだ。一人で10年以上生きられる程度のタフさは持ち合わせているといえる。去年は、そのタフさを創作に振り向け過ぎてしまった。生活を極限まで犠牲にして、持てるエネルギーのほとんど全てを創作に注いだ。その結果、生活がままならなくなり、その立て直しを図っていたのが今年の前半であった。今は、だいぶ持ち直したと思う。最悪、実家に帰る選択肢もあったけれど、それは回避した。レジリエンス(回復力)が高いのだろう。なかなか、しぶとい人間である。

生活が大事だと自覚するようになったのは、つい最近のこと。それまでは、ただ漠然と生活していた。家は住めれば良いし、食事は食べられれば良い。今年に入って、その考えが変わりつつある。生活は、生きるためのインフラだと思うようになった。創作にしろ、それ以外にしろ、好きなことをやるためには、少なくとも生きていなければならない。生きることは簡単じゃない。ギリギリで生きていては、創作のパフォーマンスも下がってしまう。睡眠を例にとればわかりやすいだろう。睡眠が重要なのと同じように、生活も重要なのだ。

命を削って創作するクリエイターのパブリックイメージは、たしかにかっこいいかもしれないけれど、そのような創作ができる人は間違いなく恵まれている。誰かが命を支えてくれているから、そんな真似ができるのだ。一般人が迂闊に真似してはいけない。私みたいな凡人は、もっと地道に、着実にいかねばならない。私一人の能力などたかが知れている。だから、時間や環境を味方につける必要がある。生活は、創作の基礎体力なのだ。その意味では、結婚も似たようなものだと思う。同じ夢を叶えるなら、一人よりも二人のほうが有利だろう。っていうのは、ただの口実なんだけど。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink