心の赴くままに書いてみたエッセィ

池田大輝
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公開:2026/3/27

なんだかとても疲れている。そういうものなのだろうか。わからない。

疲れていなければやりたいことがもっとたくさんある。観たい映画は山ほどある。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も『嵐が丘』も劇場で観たい。前者はともかく、後者はもう終わってしまったのではないか。はあ。映画館で映画を観ることは、旅行と同じくらい貴重な経験だと思う。そのチャンスをみすみす逃している。本当にもったいない。

さて、やりたいことを想像して最初に出てきたのが映画鑑賞だったわけだけれど、つまり、映画を観ることが私の人生において最優先事項だということか? うーん、どうだろう。そこまで映画が大好き、というわけでもない。言うほど数は観ていない。「見ていない」ではなく「観ていない」と書く程度には映画好きである。

ほかにやりたいことを考えてみたけれど、特にない。いや、なくはないのだけれど、すでにやっているものが多い。創作(今は主に恋愛ゲーム)は日々やっている。地味ではあるけれど、楽しい。勤務先の仕事もそれなりに楽しい。研究の仕事が本格化しつつあって、まあそのせいで疲れているといえばそうなのだけれど、でも、研究職には少し憧れがあったので、全然良い。研究とか創作とか、そういうものに向いているのだと思う。

ところで、エッセィという表記は、小説家にして工学博士の森博嗣先生に倣ったものである。この文体も、多少は影響を受けている。森先生が小説で大儲けをしたことを除けば、それなりに近しい人生を送っているといえなくもない。いっそ、小説を書いてみようか? 小説家になりたいと思ったことはあまりないけれど、書店に自分の書いた本が並んでいるところは見てみたいと思う。このエッセィも、一応は書籍化を目指している。物好きな編集者がこのエッセィを読んだら、あり得るかもしれない。小説に話を戻すと、メフィスト賞に応募しようかと実は考えている。森博嗣先生の『すべてがFになる』がメフィスト賞の最初の受賞作である。それ以外は知らない。『すべてがFになる』は読んだけれど、そこまで刺さらなかった。むしろ、森博嗣のエッセィばかり読むようになった。

あとは、奥様の存在か。あ、森博嗣との相違点の話。あの人は20代の半ばくらいで結婚している。奥様という表記はあまりよろしくない書き方だと思うけれど、これも森先生に倣っている。森博嗣と呼び捨てにしたり先生と呼んだり、忙しい。また結婚の話か、と思われるかもしれない。誤解のないように書いておくと、誰でもいいわけではない。マッチングアプリや結婚相談所の類は一度も使ったことがない。使いたいとも思わない。今の時点で、特定のパートナーがいるわけではない。遊び相手がいるわけでもない。つまり、そういうことである。

結婚は、特別なことだと思う。迂闊にはできない、はずなのに、みんなぽんぽん結婚している。とても不思議だ。羨ましいとは思わない。友人が結婚したら、素直に喜ぶと思う。結婚は、とても人間くさい営みだと思う。そもそもそんなことをする意味がない。契約を結んだところで、法律以上の義務が生じるわけでもない。契約を反故にする人だって結構いる。なんとなく一緒にいる。それだけ。

考えてみれば、創作も同じ。架空の物語を生み出したところで、世界は何も変わらない。小説が100万部ヒットしても、まあ、たかが知れている。自己満足と、まわりの数人の満足にすぎない。出版社と契約したからといって、人生が一変するわけではない。

では、なぜそんなことをするのだろう。なぜそんなことを望むのだろう。これに答えられない時点で、私たちは欲望の赴くままに、きわめて動物的に生きているといえる。多少の社会性があるという意味で、人間的であるともいえる。このエッセィもそう。こんなものを書いても意味がない。こんなものを読んでも意味がない。全く時間の無駄である。このエッセィを書く時間で、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の4分の1を鑑賞することができる。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も、これだけ期待した挙句、案外、期待外れかもしれない。

少なくとも、いえることがある。私はこんなエッセィを書いてしまった。あなたはこんなエッセィを読んでしまった。私は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を観ないわけにはいかなくなり、おそらく『嵐が丘』は観ないだろう。観れたらラッキー、である。このエッセィは人生のミニチュアだ。人生は、少なくともこのエッセィ程度には理不尽である、ということ。そう思うと、結婚もまた理不尽の一形態といえなくもない。きわめて特別な理不尽である。不条理ともいう。お見合い結婚は、不条理の極みみたいなものである。たぶん、私は理屈っぽすぎるのだろう。もっと心の赴くままに生きてみたい。最後のひと言を書こうとして、筆(キーボードともいう)が止まった。まったく、やれやれである。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink