ネットでパートナーに対する愚痴や不満を匿名でぶつけている人をよく見かける。妻から夫に向けられたものが多い。そんなに文句を言うならそもそも結婚しなければ良かったのでは、あるいは、さっさと別れてしまえば、と思うけれど、そう簡単にもいかないのだろう。
他人についての愚痴を言いたい気持ちが理解できない。面と向かって伝えるか、嫌なら離れれば良いだけのこと。それをせずに愚痴を言っているのだとすれば、愚痴そのものを楽しんでいるとしか思えない。テレビのワイドショーのように、政治家や芸能人の悪口を言うのと同じ。愚痴を言うことが目的と化している。パートナーが可哀想だ。
思うに、パートナーに夢を見過ぎである。理想主義者の私が言うのだから間違いない。期待しがちな気持ちはわかるけれど、それを恋人に向けたことはない。恋人は、ただの人間だ。就活の面接官でも、オーディションの審査員でもない。オーディションの類に応募すると、私はどうしても期待してしまう。それは、相手が他人だから。赤の他人に対しては、どうすることもできない。だから、期待するか祈るしかない。
恋人は違う。ただの人間だ。他人ですらない。隣にいて、隣にい続けてくれる人。一切のレッテルを貼る必要のない唯一の人間が、パートナーという存在である。夫や妻というのは、それを指し示す代名詞に過ぎない。スーパーヒーローでも超能力者でもない。この世界でいちばん無力な人間と言っても過言ではない。だから、守ってあげるのだろう。隣にいてくれる無力なその人を守りたいと思うから結婚したのではないか。
特別な人であることは、例外であるということである。つまり、パートナーの愚痴ほどつまらないエンタメはないということ。そういうのは、二人だけの世界でやってほしい。『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』という映画がある。良い夫婦のお手本のような映画だから、パートナーへの不満がある人は、ぜひ観てみることをおすすめする。