一途と執着の違い

池田大輝
·
公開:2026/1/3

正直、違いはよくわからない。相手のことを想うかどうか、という視点はありそうだけれど、とはいえ、一途な恋が相手を思いやる恋であるとは限らない。よそ見をせず、ただ一心にその人のことだけを想う、という点においては、一途も執着もあまり変わらない。執着は、どのような結果であれ、その相手にしがみつくことだけを目的とする。その終着点は、たいてい不幸である。一途は、どのような手段であれ、その相手の幸せをなによりも願う。手段か目的か、という話ではない。誰かの幸せを願うこと、さらに言えば、誰かを幸せにすることは、単純な手段だけでは達成できない。というか、ほとんど不可能である。幸せは、基本的にはその人だけのものであり、誰かを幸せにするだなんて、きわめて厚かましい態度だと思う。どれだけ厚かましく、傲慢であろうとも、その人の幸せをなによりも願うのであれば、それは、一途な恋と呼ぶにふさわしいだろう。と、考えると、執着よりも一途のほうが、よほど無責任で、一方的で、押し付けがましい態度に思える。それでも、一途な恋が良しとされる理由はなんだろう。

というエッセィを書いたのには理由がある。初詣でおみくじを引いたら「わきめもふらず一心になさい」と書かれていたからだ。神様がそう言うのなら、と思わなくもないけれど、神様のアドバイスを鵜呑みにするほど敬虔な信徒ではない。まあ、とはいえ、こういうのは行動に現れてくるだろう。こうかな、と思うことを、少しずつやってみるしかない。神様のアドバイスは、たいていの場合、正しい。間違っているように見えるのは、肝心なところが省略されているからだ。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink