AIに仕事を奪われない方法

池田大輝
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公開:2026/2/12

最近のAIは本当にすごい。1年前には絶対にできないと思っていたことが、あっさりできるようになっている。私は仕事でAIを大いに活用している。プログラムを書かせたり、ドキュメントをまとめたり、それらをもとに計画を練ってもらったりしている。もはやAIなしでは仕事ができない。

いまつくっているシステムは、明らかに私の知識やスキルの範囲を超えている。AIがそこをカバーしてくれている。つまり、AI(というか私)は、数名のプログラマの仕事をすでに奪っている。申し訳ない気持ちは特にない。そもそも、AIがなくたって、仕事を受注できるかどうかは競争だ。特に公共案件は競争入札が基本だから、相手が競合他社からAIに置き換わっただけといえる。ただし、価格だけを見れば、AIは恐ろしく安い。月数万円で、中堅以上のプログラマに匹敵する仕事をしてくれる。しかも、24時間、休まずに。

ChatGPTが世に出てから、3年ちょっとしか経っていない。3年で、AIは人間の仕事を奪った。これからは加速度的に奪っていくだろう。では、仕事を奪われないためにはどうすれば良いのか。それは、あなたにしかできないことを仕事にすることだ。

さっきも書いたけれど、AIがあろうとなかろうと、仕事というものは基本的に競争だ。同じ成果が出てくるなら、安くて早いほうにお願いする。同じ飲み物を買うなら、コンビニよりもスーパーを選ぶだろう。ただし、価格競争はある程度の規模があってこそ成り立つのであって、フリーランスのイラストレーターが同じことをやっていては、すぐに立ち行かなくなるだろう。

売れているイラストレーターの絵は、ほぼ例外なく、ひと目見ただけでその人の絵だとわかる。ブランドというやつである。その人の絵だから欲しいと思う。その人に描いてもらえるならいくらでも出す。ブランド価値が高まれば高まるほど、イラストレーターは有利になっていく。

ブランドとは、すなわち名前だ。極端にいえば、その絵に何が書かれているか、また、その絵が巧いかどうかは関係がない。その人が描いたという事実こそがブランドをなす。ブランドがあれば、競争にならない。比べること自体がナンセンスだからだ。

ということを、いろいろと仕事をお願いする立場になって思う。仕事をお願いしたい、よりも、その人にお願いしたい、が先にある。その人がいなければ発生しなかった仕事がある。そのような人は、仕事を奪われるどころか、むしろ増やしている、といえる。

映画や舞台やドラマにおいて、当て書きという言葉がある。俳優が先に決まっていて、その人に合わせて脚本や演出をつくり上げる。私は、この当て書きスタイルを好む。これは別に、創作に限った話ではない。面白い人に出会うと、この人に何かをお願いしたい、と思う。その人に出会うまでは存在しなかった仕事が、作品が、物語が生まれるのだ。

あなたがあなたであることは、どれだけ優秀なAIにも置き換えることができない。誰一人、あなたの人生を生きることはできない。あなたの物語は、あなただけのものだ。あなたがいなければ生まれなかったたくさんの物語がある。仕事は、それを忘れさせる。仕事を奪われたところで、あなたのアイデンティティまで奪われたわけじゃない。仕事を奪われたなら、次の仕事を探せば良い。仕事は、あなたの人生のほんの一部に過ぎない。それを巧妙に隠蔽しようとするこの社会のほうが、どちらかといえば問題だろう。生きることは大変だけれど、生き方はひとつじゃない。AIと戯れていると、ふと、そんなことを思ったりする。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink