どうやって他人を頼れば良いのか

池田大輝
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公開:2025/10/28

他人を頼ることがとことん苦手な人間である。大体のことは自分で手を動かしてきた。とはいえ、それで立ち行かなくなっているのも理解していて、最近は積極的に他人を頼ろうと頑張っている。

しかし、大人になると、他人を頼るのも簡単ではない。大人の世界は、基本的にお金で物事が進む。誰かに仕事を頼みたいのなら、まずはお金を用意しなければならない。私はお金を持っていないので、この時点で無理、ということになる。

なぜ一人でやろうとするのか?とよく訊かれるけれど、それは、お金がないからだ。お金があれば、いくらでも頼らせてもらうと思う。ここ最近は、AIにたいへん助けられている。ChatGPTは毎月3000円で使うことができ、これくらいであれば、なんとか払うことができる。ちょっとした雑務をこなしてくれる秘書的な存在がほしいと思っていたけれど、ほぼ、AIで事足りている。AIには馬車馬のように働いてもらっている。同じアウトプットを人間に求めるとしたら、月100万円でも足りないだろう。

つまり、お金があれば万事解決、というわけだ。幸い、ほんの少しだけお給料の高い仕事に就かせてもらったので、今後は、もっと頼らせてもらうことが増えると思う。

とはいえ、お金がすべて、という世界観は、理屈では理解できても、感覚では理解できない。私は、頼られることは嫌いじゃない。明らかに搾取的なものでない限りは、できるだけ力になりたいと思う。

それを他人に強制したい、ということではない。むしろ、良い仕事には適正な報酬を支払いたいと思っている。あれこれ理由をつけて、買い叩くような真似はできるだけしたくない。ただ、そのためにはやはりお金が必要であり、お金を稼ぐためには、自分で手を動かして頑張らなければならない。

という考え方が、すでに間違っているのだろうな、と思う。お金がすべてでないことは、多くの人間がぼんやりと理解しているはずであり、それは、たとえば、推し活や、同人誌即売会や、結婚という形に表れている。お金がすべてでないどころか、お金は合理の一形態でしかないことを、ほとんどの人間が直感的に理解している。

さて、いよいよわからなくなってきた。どうやって他人を頼れば良いのか。お金をたくさん稼ぐしかない? それができないのなら、一人で全部やるしかない? 苦手なことについては、このように極端な思考になってしまう。他人を頼るのが苦手なら、「他人を頼ること」を誰かに頼る必要がある。しかし、それもまた苦手だから、「「他人を頼ること」を誰かに頼ること」も誰かに頼らなければならない。しかし、やはりそれもまた苦手だから……。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink