たとえば、腕が伸びるゴム人間の主人公を思いついたとする。どれだけ頑張って言い訳を重ねたとしても、それはルフィのパクリである。
AIにアイデアを投げると盗まれるから気をつけろ、といった警告をよく聞くようになった。たしかに、リスクはゼロではない。けれど、簡単に盗まれるようなアイデアは、しょせんその程度と言わざるを得ない。簡単に盗まれるアイデアは、簡単に盗めるアイデアだ。文脈に依存しておらず、パーツとして取り出すことができる。一般に、そのようなアイデアは、思いつくのが簡単だ。そして、実装するのも簡単だ。思いついたら、すぐに形にしてしまえば良い。そうすれば、盗まれるかどうかはさておき、先につくったのは私だ、と主張することはできる。
今までは、アイデアそのものには価値はなくて、それを形にしなければ意味がないと言われていた。けれど、アイデアを形にできるスピードはどんどん加速している。手を動かすことよりも、アイデアを思いつくことのほうがボトルネックになりつつある。AIがプログラムを書いてくれるようになって久しいけれど、テトリスやインベーダーゲームのパクリばかりつくる人が後を絶たない。
つまり、ルフィやテトリスやインベーダーゲームをつくってしまえば良い、ということだ。もちろん、それは簡単じゃない。テトリスを模倣することと、ゼロからつくることは全然違う。その難しさは、ゼロからつくってみなければわからない。そして、つくってみるとわかると思うけれど、ゼロからつくったテトリスを自分でプレイしてみて、面白い、と感じることは、実はつくることよりも遥かに難しい。