あなたの力になりたい

池田大輝
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公開:2026/2/23

これまでの人生で一度たりとも、誰かの力になりたいと思ったことはなかった。学生時代に映画を撮っていたのは、賞を獲ったりバズったりして、業界に入るためだった。恋人と付き合っていたときでさえも、彼女の力になりたいとは、あまり思っていなかった。彼女に優しさを向けるのは、嫌われたくないからであり、彼女を守るためではなかった。

この数年で、誰かの力になりたいという気持ちを知った。それは、たとえば、私のゲームのキャラクターに対して。私の絵が上手くなるほど、彼女たちは可愛くなれる。私の文章が上手くなるほど、彼女たちは饒舌になる。私が強くなることで、誰かを守れることを知った。

誰かを守れるほどの強さを果たして持ち合わせているのかどうか、私は知らない。きっと、持ち合わせてはいないだろう。まだまだ自分のことでいっぱいで、自分のことすらうまくできない。けれど、数年前に比べれば、遥かに強くなったと思う。

私を強くしてくれた人がいる。その人に心当たりはないと思う。無理もない。私だって、心当たりがないのだから。でも、そうとしか思えない。本当に感謝しているのだ。あなたに出会わなければ、私は強くなれなかった。あなたに背中を押されなければ、私はここにいなかった。だから、今度はあなたの力になりたい。どこまでできるかわからないけれど、力の限りを尽くします。ただし、私は不器用だから、あなたのようにさりげなくはできないかもしれない。気づいても、どうか嫌な顔をしないでください。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink