居場所がない

池田大輝
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高校では映画を撮りたかった。けれど、映画サークルはなかった。だからつくった。大学は、映画とは無縁の理系大学。早稲田とか慶應に行っておけば、と後悔しながら映画を撮った。新卒で入ったゲーム会社では、楽しい仕事もさせてもらえた。でも、馴染めず、辞めた。食い繋ぐ仕事もした。どれも続かなかった。

自分でゲームをつくる仕事が、今のところ一番長く続いている。売上は正直心許ないけれど、それを除けば、今までで一番「居場所」だと思える。けれど、居場所と呼ぶだけの要件を満たしていない気もする。何せ、自分で企画し、自分でつくっているのだ。

きっと、居場所などない。そんなふうに思いたくはないけれど、でも、たぶん、事実だ。ここに書いていない経験もたくさんした。いろんな場所に居場所を求めた。でも、なかった。必要であればつくった。ずっとそのように生きてきた。

居場所をつくるしかないのだろうか。わからない。探せばあるのかもしれない。出会っていないだけかもしれない。本当にわからない。だから、期待はしない。居場所をつくるか、なくても生きていけるように工夫するしかない。それができる自信はない。

まあ、でも、同じような人はそれなりにいるのだろう。みんなどうやって生きているのか。本当に不思議だ。話を聞いてみたい。一緒に居場所をつくるのも悪くはない。うまくいく保証はないけれど、ひとりで絶望するよりかは遥かにましだ。ひとりではない、という事実をいつも忘れそうになる。そういう人たちの居場所がひとつくらい、あってもいいんじゃないかな。

@radish2951
ゲーム作家。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink