ちゃんと成果を出さなければ、あるいは、魅力的であり続けなければ、いつか見捨てられてしまう、という漠然とした不安がある。具体的な誰か、というよりも、もっと、世界全体に対してそういうことを思う。必死にアピールしなければ、世界は私を見捨て、忘れ去ってしまうのだ、と。
このエッセィを書くのだって、不安を紛らわす側面がゼロじゃない。とりあえず書き続ければ、世界に対して存在をアピールできる。実際に、読んでくれる人はそこそこいる。ありがたいし、少し安心する。世界が私を見捨てたとしても、あなたは、少なくともこれを読んでいる間は、私を見捨てたりはしない。
どうでもいい存在に成り下がるのが怖い。世界に見捨てられるとは、誰にとっても取るに足らない存在に成り下がることだ。どうあるべきかとか以前に、ただ怖い。
わざわざ存在をアピールなんかしたくない。そんなことをせずとも、見捨てずにいてくれる人がいて、安心して生きられる場所で生きたい。ただこの存在を、私を、受け入れてほしい。認めてほしい。承認してほしいのではない。見捨てないでほしいのだ。
ほとんど本能に近いのだろう。人が死ぬのは、心臓が止まったときでも、脳が壊れたときでもない。存在を忘れられたときだ。だから、せめて人間らしく生きるために、私は書き続けなければ、つくらなければならないのだ。