アイドルをプロデュースしたい

池田大輝
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公開:2025/7/24

アイドル好き、と言うほどではないけれど、たまに特定のアイドルに興味を持つことがある。大学時代はももいろクローバーZのライブに行っていた。最近は、26時のマスカレイドというアイドルのMVをYouTubeで観ている。おすすめに出てきて知ったのだけれど、どうやらもう解散しているらしい。

アイドルをプロデュースしたい、と思うようになったのは、つい最近のこと。今までずっと、自分はプロデュースされる側だと思ってきた。学生時代は映画を撮っていて、今は恋愛ゲームをつくっている。カメラを回し、編集し、ゲームをつくるようになってからは絵を描き、シナリオを書き、プログラムを書き、とにかく、自分で手を動かして作品をつくってきた。今もつくっている。一方で、スケジュール管理とかマネジメントとか資金調達は苦手だから、得意な人にお願いしたいと思ってきた。

しかし、そんな都合の良い人は簡単には現れない。幸いにして、最近になって少しずつ声をかけていただくことが増えてきた。本当にありがたい。とはいえ、協力者がいれば万事解決、とはならない。作品がいちばん大事であるし、プロデュースを丸投げするわけにもいかない。どんな職業であれ、セルフプロデュースが求められる時代である。制作とプロデュースの境界が消えつつあると言っても良い。自撮りは、アイドルにとってファンを増やす手段のひとつだ。マネージャーが専属カメラマンになるわけにもいかないだろう。

ただ、そのような状況はなかなかに過酷だな、とも思う。私の知る限り、クリエイターやアイドルで、プロデュースを得意とする人は多くない。うまくやっているように見える人はそれなりにいるが、うまくやっているから目に留まるのであり、プロデュースが下手な人は存在すら知られずに終わることも珍しくないだろう。むしろそれが多数派だと思う。届けたい人に届かないもどかしさは痛いほど味わってきた。ゲームクリエイターであれ、VTuberであれ、イラストレーターであれ、その苦しみはさほど違わないはずだ。

ならばいっそ、プロデュースする側に回ってしまえばいいのでは、というのが私の考えである。みんなプロデュースに苦労している。プロデュースがボトルネックになっている。ならば、それを解消すれば良い。どちらかといえばビジネス的な発想である。私自身は、やはりクリエイターでありたい。最近は、こうして毎日エッセィを書いているように、文章を書くことが楽しい。面白い作品を書きたいし、もちろん映画も撮りたい。

けれど、たぶん、私はプロデューサーのほうが向いている。誰かに指示されることに向いていないともいえる。だから、プロデューサーのように、誰にも指図されず、自分の裁量で好きなことができるほうが良い。きっと、そのほうがみんな幸せになる。

では、なぜアイドルなのかといえば、これは私もよくわからない。アイドルをプロデュースしたいと思ったことは今まで一度もなかった。熱狂的なアイドルファンでもない。あえて言葉にするならば、アイドルという存在の神秘性に惹かれる、といったところか。アイドルは、ほかの職業とは違う。アイドルは生まれながらにしてアイドルであり、死ぬまでずっとアイドルなのだ。アイドルになるべき人が、たまたま良きプロデューサーに出会えていないという理由だけで埋もれてしまっていることへの、多少のもどかしさはあるかもしれない。

もちろん、プロデューサーになるのは簡単なことじゃない。ある意味では、他人の人生を背負う仕事である。生半可な覚悟では務まらない。お金も要る。今すぐにどうにかできる話ではない。というか、厳密に言えば、すでにアイドルはプロデュースしている。昨年末にリリースした恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』にテトラウィッチというアイドルグループが登場する。メンバーは、桐咲春花(和久井優)、長峰夏希(長谷川玲奈)、沢渡秋步(山田麻莉奈)、篠原冬優(川口莉奈)。籾山さんにも曲をつくっていただいた。にもかかわらず、ろくに宣伝できていない。ライブシーンも急いでつくったせいで、中途半端になっている。プロデューサーとしての最初の仕事は目に見えている。頑張らなきゃ!

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink