今年の9月に、千葉の船橋から新宿に引っ越した。就職に伴っての転居である。東京に住むのは初めてではないけれど、今までは東京23区の外、西東京のほうばかりだった。それが、ひょんなきっかけで、突然、新宿に住むことになった。
新宿といっても、誰もがイメージするような新宿ではなく、ひっそりと静かな場所である。駅から歩いて30分くらい。駅といってもいろいろあるけれど。
新宿は、映画館が多い。映画好きの私にとっては大変ありがたいことである。少し歩けば映画館がいくらでもある。そういえば、人生の転機(?)になった映画も新宿で観た。
『冴えない彼女の育てかた Fine』という映画を、2020年に入ってすぐ、新宿の映画館で観たことをはっきりと覚えている。簡単にいえば、ギャルゲーをつくるお話である。これを観て、いてもたってもいられなくなり、自分でもギャルゲーをつくり始めた。
新宿は、なんでもある街だと思う。買い物に困ることはまずないだろう。新居の準備も、ほぼ近所で済ませた。映画館が多いことは、その象徴みたいだ。この街にいれば、たくさんの映画に出会える。いくつもの物語が私を待っている。そう思うだけでわくわくする。6年前みたいなことが、もう一度、いや、何度でも、この人生に訪れるのだとしたら。
きっと、一生、新宿に住み続けることはない。住みたいとも思わない。人生がもう少し落ち着いたら、誰もいない、しずかな場所で、花や雲に囲まれて暮らしたい。それまでの、期限付きのドラマの舞台としては、これほどぴったりな街もないだろう。