親の期待に応えなければならないのか?
これは、「応えなくてよい」。
親というのは、どうしても子供に期待してしまうものだ。期待の理由はいろいろあるが、期待というのはそもそも感情だ。つまり子供に期待を大きく寄せる親は、子供に自分の感情の面倒を見させている側面がある。
感情は理性で制御する。具体的には脳の前頭前野で制御している。前頭前野の機能が十分に発達すると感情をコントロールできるようになってくる。これは1848年のフィニアス・ゲージ氏の前頭葉損傷事件が証明している。穏やかだった彼の性格が事故後、「本当に同一人物か?」と言わしめるほど人格が変わったと言われている。また、前頭前野は脳の部位の中で最も発達に時間がかかると言われている。その時間は約20年。高校生くらいの人が情熱的で直情的なのも頷けるところだ(当時の私もそうだった)。
親は脳が発達しきる時間が経っている。感情はコントロールできる年齢なのだが…実際、感情をコントロールできる大人は多くない。その中から、最も近しい人間である子供に期待をかけ、期待に応えてもらおうとする親が現れる。彼らは自分の感情を子供に面倒をみてもらいたいと願う。しかし期待通りになることはごくまれである。そして自分の思い通りにならないと不満や怒りを持つ。この一連の流れが親子関係で発生することがある。
まとめると、感情をコントロールできない親が、子供に過剰な期待をかける傾向にある。
親の期待に応える必要が、子供にあるだろうか?親の葛藤や苦しみを子供に押し付けていいだろうか?自分の苦しみを子供に処理してもらおうとすることは、大人のすることだろうか?
子供は、自分のことでせいいっぱい忙しい。特に現代は、やったほうがイイことが山ほどある。私が子供の頃の時代とはあきらかに情報量が違う。現代の子供は無尽蔵にある情報に晒され、その中から選び取るために悪戦苦闘の毎日である。私は少なくとも彼らの邪魔はしたくない。ゆえに、大人として私ができることは。
自分の感情は、自分で面倒を見ることである。