自分の読んだことのない本は売りたくない。自分が読んでうえで、誰かに読んでほしいと思える本だけ売りたい。いろんな人から本屋さんをやらないのか、という風なことを言われるたびにやんわりと否定したけど、その理由の大きな部分はこれかもしれない。もちろん商業書店が中身を読まずに売っていること自体に文句があるわけではない。それはそれで本屋さんの技術だと思う。でも私はそれをしたくない。その売り方が商業で、資本主義でうまくいかないなら、とりあえずはその土俵の外でやってみたい。
というわけで一箱古本市、これに出店してみようと思う。実演販売をしたり、棚貸しを検討したり、そういう紆余曲折もあったけど、そもそも最初に考えたのは一箱古本市だった。持っている本を売らないといけないのは惜しいが、これも経験。一度違和感、というかもったいない精神が働いからといって、今回も同じとは限らない。そのために一度どんな感じか見てみようと思う。幸い次回開催は何の予定もない(しばらくイベントに参加するつもりがないから、週末は余裕ができるだろう)。あまりにも雰囲気が違ったら、その時はその時考える。
屋号も思いついた。ちゃんと考えた。ただ好きな言葉だから「不悉」を使うとかではない。「ジブン書店」これでいく。私と同じように苦しんでいる、私と違う生き方をしている貴方へ。健やかでなくてもいい、くじけてもいい、そのまま立ち上がれなくてもいい。ただその生存だけ縋りついてほしい。そのための本。自分以外の自分に向けた本。そういう本を売っていきたい。「ジブン」は漢字でもいいんだけど、パッと見「ジンブン」に見えるのもいいなと思ったから「ジブン」。名前を考えると妄想が膨らむな。名前は偉大だ。
こういう活動を安定的にするためにも、仕事のほうもそれなりに安定的にやらないといけないだろう。だから今の仕事をしぶとくこなすのも仕方がない。前向きすぎて変な感じだけど、間違いじゃなかったと証明するために、私にできる限りのことをやろう。本を読もう。