千年女優を観てきました。
パプリカはタイトルだけ知っていましたが、こちらは完全に知らなかったです。予備知識なしで観てきました。
以下、感想(※これから観る方は、以下読まないことを勧めます)
①あらすじ・テーマ
藤原千代子という稀代の元女優の人生の話。取材を通して過去を振り返るお話。話は終始、「逢いたい人を追い続ける藤原千代子」を描いたものです。
そのテーマは一貫していて、最初から最後まで同じです。
女優として、幾多の映画作品に「逢いたい人を追い求める」役を演じているし、何度も「あの人に逢いたい」というセリフを言っています。
え、話って結局それだけなのか・・・と思うかと思います。
それだけのことなんですが、それだけを長い人生の中で思い続けることが単調であるわけではなく、色んな雑念・迷い・感情が入り乱れていて、それを千代子の過去出演の映画を題材に、場面転換も激しく、色濃く、とても引き込まれました。
②物語の構成・見せ方
無駄な描写がほとんどないなと思いました。
女優ということで、過去に演じた映画作品を映像として通じて、見せていました。場面転換が激しく、コロコロと絵が変わりますが、逆にそれがテンポよく飽きません。またさらに、あくまで藤原千代子を追い続けた回想がベースなので、見るポイントを見失うことがなかったです。(※アニメ見慣れてないと何してるのかわからない。とかいう人はいるかもですが)
キャラクターは色々いますが、基本的にメインは3人で進行していきます。
「女優」と言うだけあって、基本的に主役:藤原千代子から目が離せないのですが、メインキャラが少ないことによる効果かもしれないですね。
また①にも書いていますがテーマも一貫していたので、そこも展開が早くても見ている側がおいて行かれずに見られたポイントかもしれないです。
さらに単純な見せ方ではなく、あくまで取材をしているわけなので、取材記者が思い出に介入している形。千代子の過去の話に現在の取材記者の茶々が入ったり、果ては役として入ってきたりと様々でした。
若いカメラマン(井田 恭二)は茶々を入れて突っ込みがちな立ち位置でしたが、決して邪魔ではない存在でした。どちらかというと、見ている我々に近い視点で共感し易い良い緩衝材になっている気がします。結構大事な役回りかと・・・
おじさんの方(立花 源也)は、いるなぁこういうおじさん…って感じのおじさんでしたね。女優:藤原千代子への愛がすさまじい・・・。若い取材記者よりは我々から距離が遠く、あくまで作品の中の人って感じですが、千代子の視点では見えない現場の第三者(伏線の持ち主)として、必要な視点でした。
千代子(物語の中心人物)←源也(千代子と同じ時間・空間を共有している当時の第三者視点)←恭二(我々と同じ視点で物語を追ってくれる存在)
って感じでしょうか?
③締め方
とてもきれいな締め方でした。
テーマは一貫しているが、これオチはどうなるんだ?と気になりながら見ておりましたが、実に静かにきれいな締め方でした。
藤原千代子が自身の人生を綺麗に肯定・総括したセリフで締めたことで、観終わった後はスッキリしていました。
「逢えなくても良いのかも」
「だって私・・・」
「彼を追いかけている私が好きなんだもの」
これ、きっと千代子は究極に恋愛をし続けたんだろうなって思いました。
きっと「彼を追いかけている千代子(自分)」を思い出して、俯瞰して見てみた結論なのかな、と
あくまで、自分自身に納得した台詞。
決して自分に言い聞かせるように言っているとは思いませんでした。(私が思いたくないだけですが・・・)
でも生涯恋愛し続けた女性が、藤原千代子だったのかもしれないし、
彼女が女優として輝いた理由はそこにあったのかもしれない。
源さんが最初に「あの人は歳をとらん!」って恭二に怒るシーンがありますが、きっとそういうことなんだろうなぁ、ってこれ書いてて思いました。
ちなみにWikiによると、キャッチコピーは「その愛は狂気にも似ている」らしいですよ。
現実は傍にいない一人の人を、想い続けることは難しいですね。
でも、美しいと私は思いました。
細かいところ他にもありますが、このくらいで・・・以上