2024.4.13

李晏
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夕暮れ時。鴉が飛んでる。バイト終わりの疲れ切った身体。たくさんの野菜が欲しいと身体は御所望だったので、たくさんの野菜を用意する。ほうれん草の上に人参と黒酢のドレッシング。玉ねぎと鶏ひき肉を炒めて照り焼きのタレを気持ち少なめ。手で剥けるオレンジ。沢庵。そしてお米。頭は重い。早めにお風呂に入ってすっきりしたい。

仕事へ行く前に1日かけて膜を一枚被る。身体全体を覆って自身を隠す。仕事に必要のない場所を隠す。寸分違わず。自身を恥じているとか劣等感があるとかそういうことじゃなくて、わたしだと主張する電源を落とす。滑らかに仕事を進めるためだけの機械になるとでも言い表そうか。わたしの欲求は著しく低下する。その膜をもう被る必要が無くなるよう、わたしはわたしの駒を進めたいと思っている。

生きたくない世界を死にたくなるまで生きたから、多分その時の傷つきを悪化させない為に自分で自分を守ってるのだと思う。人間から傷つけられた心は更に人間によって傷つけられることが多いだろうから。そして今のバイトは関わりたい人と関わるためのものではないから。もうこれ以上、傷を増やさない。

生きたい世界を生きられたら同じ景色でも見え方は変わるだろうから、死にたくなるまで生きた世界の檻の扉を開けて出る。そして振り返って静かに扉を閉めて鍵をかける。勇気は空に貰ったよ。とても広い生きたい世界の檻の扉を開けるまでのモラトリアム。今はそんな時期であって欲しいとささやかに希う。

わたしの王が泣かないように。ただそれだけを指針にしてる。

@rian
Twitter: @Rian_nokiroku