こころがうまく外側に向かわない時がある。綺麗になるようにと少しずつ厚さを増すように作り続けた殻の内側で今日は外側に出られない日だと遠い目をして途方に暮れる。
私の子守唄は雨ではなくずっと雷だった。ここ一年で子守唄は気づけば少しずつ形を変えていた。雷の日だけは呼吸ができた刻がある。呼吸を思い出せる。晴れの日は少し苦しい。
私にとっての回復が何かなど、とんと分からない。今のままでも悪くはないのかもしれないけれど。何が楽になる薬かわからないから色々試してみてはいるけれど、目の前にある大切なものに気づけていないだけな気もする。手探り状態。それを楽しめるくらいの余裕は創られるようになりたい貪欲。
大体いつも決まった時間に聞こえて来る車の鍵を開ける音、帰ってくる音、DIYの音、料理の香り、規則正しい生活のそばで、私の規則正しくない生活は暴れてる。目についたゴミはささっと拭きとる。それでよい。
肉を焼く音、手洗いの為の温かい水。心地よいの欠片を集める。
ピアノの鍵盤に触れながら、私の音楽を引き延ばしていく。きっと自由にどこへでも行けるのだと感じさせてくれる。甘いのを鎮痛剤代わりに抹茶の大判焼きを食べる。
『ノルウェイの森』のページを数枚捲る。
しあわせの色