蛙の鈴の音。遠くで鳥も控えめになく。棚引くように細く曼く。
食事を鍋代わりのミルクパンが作ってくれている間、電子レンジのなかにあるターンテーブルを磨いてみた。磨き終わって静かにゆっくり、なかに戻す。ターンテーブルだけ綺麗な電子レンジ。ターンテーブルだけひかってる。そこだけ光ってる。磨いたら白く光ってる。埃だらけの部屋。少しずつまた綺麗に磨いていけると嬉しく思う。わたしのキャパシティは少しだから、少しずつ。次の引越しまでに部屋の状態を保つ技術をもう少し磨きたい。わたしのために。
太陽が恋しいと思っていたら、雀が鳴き始めた。カーテンを開ける合図。部屋の明かりを消し、外の明かりを部屋へ取り入れていく。部屋の明かりは少し鋭すぎて困ってた。わたしが人生でカーテンを開けられるようになるなんて思いもしなかった。細月にグラデーションの空。まだ反対側は深い紺と遠くに燈された窓から漏れる橙のコントラスト。
すっかり鳴き始めた夜明け。わたしの時間。有限。たくさんの始まりと終わりが入れ替わり立ち替わり流れていく肉体。
【君はもう君のために生きていい】