知らないコメダ

りえ
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公開:2024/10/11

仕事で外出しなければいけなくなったので、コメダ珈琲店で昼食をとることにした。ミックスサンドのプレートに、アイスミルクコーヒーもつける。平日の昼間に来ることなんてほぼないから、なんだか楽しい。

コメダで何かを頼んだ時、運ばれてきたものが大きすぎてびっくりしたなんてのはよくある話だ。でも、大丈夫。わたしは何度もコメダに来たことがある。そこらへんの素人とは違うのだ。

初めてコメダに行ったのは10年少し前、愛知県の長久手店だ。きっかけは、太田忠司さんの『甘栗と金貨とシロノワール』という本を読んだことだった。この本で知るまでシロノワールなるものを知らなかった私は、読み終わった後に絶対に愛知に行ってシロノワールを食べるのだと心に決め、どうせ愛知に行くならと、サツキとメイの家にも行くことにした。現在のジブリパークの場所である。

新宿駅から深夜バスに乗り、まだ半分眠っているような朝の名古屋駅に着く。スッキリ眠れなくてしょぼしょぼする目を擦りながらリニアモーターカーに乗り、万博跡地最寄りの駅で降りる。まだサツキとメイの家の予約時間より少し早いが、でもそれは計算通り。ここにコメダがあることは知っている。初めてのコメダは、サツキとメイの家のすぐ近くにある長久手店でのモーニングとすることにしたのである。

でもこの店舗、少し変だった。ホームページをみても店舗が見当たらない。実際店に行ってみると、なんとなく思っていたよりもレトロなような。客が農家のおじさんばかりなのはまあ立地の問題か。そしてお目当てのシロノワールには、さくらんぼが乗っていなかった。初めてコメダに来たわたしが、変だと思うくらいのちょっとした違和感たち。それでも確かにコメダはコメダだったのだ。ホームページに載ってないけど。

ちょっと変なコメダはちょっと変なコメダのまま、店を閉じてしまったらしい。だから変なコメダの情報はもう更新されることはない。あの店が一体なんだったのか、もうわかることはない。

と、ミックスサンドのプレートが運ばれてきた。うん、想定の1.2倍くらいの大きさで、正直ちょっとたじろぐ。わたしはコメダを何も知らない。