ハーメルンの笛の音

りえ
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公開:2024/7/27

家から最寄りの駅までは細い一本道だ。通勤通学の時間になると、同じ方向に向かう人たちでちょっとした列ができる。皆そんなに楽しそうでもないのに、何故歩き続けるのだろうか。そしてそういうわたし自身も、しっかりと列に加わるのだ。もしかしたら、この列の先には笛吹き男がいるのかもしれない。きっとそう、だって行きたくもないのに結局わたしは歩みを止められないのだから。笛の音に誘われた子供たちは結局どこへ行ってしまったのか、話の最後を思い出せない。