地獄を登る
朝4時33分の電車に乗り、1時間半かけて羽田空港へと向かった。そこから1時間半空を飛び、北海道に着いたのは9時前だ。新千歳空港で、朝から味噌ラーメンを食べた。北海道旅行の始まりだ。
空港に背を向けて、車は街に向かって進む。「道の駅 サーモンパーク千歳」へと立ち寄り、10秒ぴったりでボタンを押したら鮭をまるまる1匹もらえるというイベントにチャレンジしてみた。9秒85で残念だった。でも実際のところ、ここで鮭が旅の道連れになるのは少し困る。持ち運んでも困らない、クマの絵のTシャツを買ってみた。いかにも観光客だ。
Tシャツとともに、また車は進む。オーディオから勝手に流れる音楽を聴きながら、小さな町を抜けて、また次の町へと向かう。その間には森と山と海が続く。どこまでも続くかのようで、ゆっくりと変わって行く景色が面白い。面白いけれど、眠くなる。太平洋を眺めながら、うつらうつらとしてきたところで、突如、窓の外に大きな熊のオブジェが現れた。驚いて写真を撮ろうとしたけれど、すぐに後ろへと流れていってしまった。大きな熊を残してどんどんと車は進む。やがて、今度は窓の外に大きな鬼が現れた。
車の外から硫黄の匂いがはいってきた。今夜の目的地、登別温泉に着いたのだ。チェックインを済ませ、徒歩で宿の近くの地獄に向かう。湯気がもうもうと噴き上がることからそう呼ばれることになった地獄谷。谷なのに何故か坂を登って向かわなければならない。それなりの傾斜と距離の坂に地獄を感じながら登っていく。その途中にはたまに鬼がいる。記念写真を撮る元気はない。
たどり着いた地獄はもうもうとしていなかった。地獄にも調子が良い日と悪い日があるのだろうか。とにかく今日はその日ではなかったらしい。
宿に戻って温泉へ行く。硫黄の温泉がメインだけれど食塩泉なるものもあったので試しに入ってみた。すぐに出た。体中がピリピリして痛い。でももう一回入ってみると、今度はだいぶマシになった。痛いけれど、悪くない。一旦出て、硫黄の露天風呂へ行く。物足りない。塩の湯船に入り直す。これだこれ。刺激が欲しい。温泉なのに、なぜか癒しではなく刺激を求めてしまっている。
朝の4時に起きたので、だいぶおねむだ。ビュッフェ形式の晩ごはんを頑張ってセンスよく盛り付けたところで、とうとう力尽きてしまった。部屋に戻ると、おやすみ3秒だった。