散歩をしていたら、突然冒険が目に飛び込んできた。
冒険だ!日常に潜む冒険だ!株式会社タイキが作ったスチール製の冒険だ!その名も"ジャングルアドベンチャー"!平日の住宅街にひっそりと存在する冒険へと挑むものは誰もいない。しかし休日には命知らずな子供達で溢れかえっていることだろう。そして、こんなわたしも過ぎ去りし日には波乱に満ちた冒険に立ち向かっていたことがあるのである。近所の公園には海賊船を模した遊具があり、そのときわたしはカリブの海賊だった。高いところが怖かったので甲板から仲間の水夫たちを応援するだけだったが、勇猛果敢な友達の妹は無謀にも見張り台から身を乗り出し、落ちて顔を3針縫った。ヨーホー!
冒険ものの小説が大好きで、何故か4冊も持っていた『宝島』を何度も何度も読み返した。それから、ロビンソン・クルーソーに、ガリバー旅行記、十二少年漂流記、トム・ソーヤの冒険、そしてエルマーの冒険!貪るように読み耽った。そんな中でどんな本よりもワクワクしたのが、『足ながおじさん』である。無人島での命懸けの戦いの話ではない。女子大生が手紙の中で日常を綴った物語だ。主人公ジュディは社会勉強のために夜な夜な本を読むのだが、ある日スティーブンソン、つまり『宝島』の作者にどハマりして、手紙に書く内容がスティーブンソンのことだらけになってしまう。そう、ジュディは大変影響されやすかったのだ。影響されやすい彼女は、そのとき滞在していた農園を拠点に、馬に乗ったり、山に登ったり、魚を釣ったり、日々ちょっとした冒険をして嬉々として手紙でそれを報告する。すっごく楽しそうである。
わたしも冒険が好きだし、影響されやすい。だから道端で冒険を見つけてしまったからには、そわそわして仕方がない。そう、気がついてしまったのだ、わたしの日常には明らかに冒険が足りていないのだと!流石に(株)タイキの"ジャグルアドベンチャー"は年齢的に諦めるが(カタログを見ると対象年齢は6〜12才だそうだ)、未だ見ぬ冒険を求めて今日もお散歩に出ようじゃないか!ヨーホー!