一ヶ月くらい前だったと思う、大好きな漫画家さんのサイン本が届いた。彼女の初エッセイ集である。嬉しい嬉しい。嬉しくてとりあえずパラパラとめくっていたら、変なページが目に留まった。
なんとも魅力的なタイトルの斜め上に、何かがある。UFOの仕業だろうか。誰の悪戯にせよ、こういうのは出版社に言えば新しいものと交換してくれるのだろう。でもこれはサイン本だ。交換なんてしたら、わたしのサイン本はどうなるのだ。わたし、のサイン本。そう、これはもうわたしの本だ。手放したくない。誰にも渡したくない。
"保有効果"、というらしい。満足できなかったら一週間以内に返品可能!というやつだ。そんなこと言われたって、一度何かを手に入れてしまった人はなかなかそれを返品なんてしない。執着心と独占欲が強いわたしは尚更しない。結局本はそのまま今も、我が家の本棚に住んでいる。わたしのための本、わたしのための特別なおまけ付きのサイン本。でもね、本当はサインもおまけもなくたって、わたしが持っているすべての本は、わたしのための特別なのだ。だってもう、わたしが手に入れてしまったのだから。
今日マチ子『きみのまち歩く、旅する、書く、えがく』