新しい傘を買った

りえ
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公開:2024/7/22

傘を買った。晴雨兼用の折り畳み傘だ。オフホワイトをメインに、縁をミントブルーで彩ったわたし好みのデザインである。持ち手部分のボタンひとつで自動開閉するのもとても良い。まだ数日しか使っていないけれど、すっかりお気に入りだ。

前に使っていた折り畳み傘に小さな穴が空いてしまい、雨や光が少しずつ漏れてくるようになった。とはいえ完全に壊れたわけではないのでそのまま使い続けていたのだが、傘をさしているのに頭がうっすら濡れていることに気がついて、流石に新しい傘を買う気になったのだ。そして色々と調べ始めたのだが、これがさっぱりわからない。遮光がどうとか、この傘をさせば−何度とか、そんな情報がたくさん目に入りすぎる。ついでにわたしの好みとしては、重くなく、大きすぎず、風で壊れず、ポキポキする必要がないものが良い。それに加えて、デザインもとても重要だ。使っていてテンションが上がる傘がいい。なんて、考えれば考えるほどわからなくなってくる。とても面倒だ、面倒すぎる。面倒なのがわかっていたから多少穴が空いていてもそのまま使い続けていたのだ。そんな感じでだいぶ飽き飽きしながら楽天市場を眺めていたら、ある一本の傘に目が止まった。可愛いし、値段もいい感じ。使い勝手も悪くなさそう。しかし何だか見覚えがある。しばらく見ていて気がついた。それはその時使っていた穴あきの傘の、後継品だったのだ。

穴あき傘は、そもそも雑に買ったものだった。さらにその前に使っていた傘の骨が突然折れてしまったのだ。壊れた骨折れ傘はたたむととても小さくて、その小ささが気に入っていたから次に買うときも同じくらいのサイズのものを買うつもりだった記憶がある。なのにある日急に壊れてしまい、結局全く小さくない傘を慌ててテキトーに買う羽目になったのだ。正直、"雑に選んだ一時凌ぎの傘"だったので、すぐに買い替えるつもりだった。ところが実際に使ってみると、それが存外に使いやすく、何より全く壊れない。そして使っているうちに、いつしかすっかりわたしの手に馴染んでしまったのだ。それが穴あき傘との馴れ初めである。

わたしの新しいお気に入りの傘は、あの日テキトーに買った穴あき傘の後継品だ。今度はしっかりと悩んで選んで買ったのだ。棚からぼたもちとか、塞翁が馬とか、まあそんな大層な話でもないのだけれど、でもとにかく何がどこでどうなるかわからないものである。