猫が居ないから

rimo
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公開:2024/9/30

目を離した隙に、テーブルに置いた焼き鳥を「猫に食べられちゃう」と思ったけど、ここに猫はもういないんだった。

暗い部屋に置いてある荷物が丸まった猫に見えて、踏まないように避けながら、黒猫はもういないんだと気付く。

日用品を買う時、いつものペット用品をもう買わなくていいんだと思い出して、猫の不在を感じる。

いつも思い浮かべるのは、亡くなった直後の顔。

今はまだ時間が経っていないから、細かく鮮明に思い出してしまう。元気な時の姿を思い浮かべてあげたい気もするし、今はまだ仕方ない気もする。時間が経つと思い出せなくなるから、今の悲しみには今向き合うしかない。


1ヶ月経ってだいぶ落ち着いてきた。

まだ猫の様子を伺おうとすることはある。テーブルに鶏肉を置きっ放しにすると、食べられないか気になってしまう。

買い物の時は猫用品を思い出さなくなった。

思い浮かべる姿も、亡くなった瞬間より他のシーンが増えてきた。

こうやって時間と共に忘れていくのが、生きている人間の凄いところだと思う。少しずつ入れ替わっていく。ずっと同じ悲しみを忘れられずにいたら生きていけない。

人を見て、とにかくまずは生きてさえいればいいと思うのは、時間が経つと少しずつ色んなことが変わるのを知っているから。時間では解決しないこともあるけれど、それは時間が経ってみないとわからないこと。

@rimo
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