桜が咲かないだけでこんなに違和感があるとは思っていなかった。
毎年日常の中で眺めるだけで、お花見をするわけでも写真を撮ったりするわけでもないのだけれど、桜が咲かないと季節が実感できない。バグを感じる。
あんなに暖かかった2月までのせいで早く咲くものだと思い込んでいたせいもある。
「もう今年は咲かなくていいんじゃないか?」と桜も思っていたかもしれない。夏日にようやく開き始めた今日の桜は、仕方なく咲いているように見えた。
一年に一度の大仕事だし、咲くのって大変そうだしね、もう咲くのやめようかなという気分にもなるのかも。
「もういいかな」と思う瞬間は歳と共に増えていて、それでもなんだかんだ生き続けている。若い頃にあった「放っておいても日常が進む」感覚はもうだいぶ無くなって、あれもこれも全部誰かが動き続けることで成り立っているんだなと思う事が増えた。だから、自分も動き続けようかなと思えるし、でもやっぱりやめたくもなる。
自分より若い人を見ているとまだまだ止まらずにやらなきゃなーとも思う。大人が若い人を見て「元気が出る」と喜んでいたのは、この感覚だったんだなあ。
よく行くコーヒー屋さんの人達はほぼみんな歳下なので、コーヒーを飲ませてもらいながらみんな偉いなあといつも思ってしまう。
自分より若い人が考えていることを話してくれた時には、自分の経験から思った事はあんまり言わないようにしている。それは歳を取ったらこうなるよと言っても仕方ないし。でも応援したい気持ちはすごく湧いてくるから、もどかしい。もどかしさを自分の中に留めて「そうかあ」と言って待つ。こちらから出来ることは何もないから。そして、ただ見ているだけで元気をもらえている。だいぶ得をしている気がする。
色んなことが上手くいくといいねと思う。現実はそんな事はなくて、むしろ厳しい事を受け止めてこなしていく事になるかもしれないけど、それでも生きていけばそれでいいんじゃないかと思うようになってきた。
歳をとるとそうなるのかもしれない。
厳しく辛そうで悲観的に生きている大人より、楽しげに鷹揚さを感じる大人を見ている方が気持ちよかったから、自分も自分なりのやり方で楽しげに生きる大人でありたいですね。