ringoko
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かなしみが煙のように立ち昇る

細く細く緩やかに

かなしみが煙のように立ち昇る

長く長くしなやかに

白い煙はたおやかに身をくねらせて

いずれは空気に溶けていく

かなしみも心のなかを漂いながら

時の流れのなかに溶けていくのか

けれども煙は決して消えない

確かな存在を感じさせる残り香

かなしみも決して消えない

いつまでも残り続ける確かな傷痕

見えなくなった煙が部屋中に充満するように

静かなかなしみが心のなかに満ちていく

あまりに静かで誰も気づかない

あまりに透明で誰も気づかない

誰も気づかないうちに

わたしたちは溺れていく

誰も気づかないうちに

わたしたちの呼吸が止まる

@ringoko
ほんのすこし、しずかななにかをおいておきたい