あなたは
「毎日仮面をつけて生きるのが嫌だ」
と言った
会社員の仮面
母親の仮面
学生の仮面
子供の仮面
知人の仮面
家族の仮面
友人の仮面
恋人の仮面
ありとあらゆる仮面をつけかえながら日々を過ごす
「素顔で生きられる場所がほしい」
あなたはわたしの腕のなかでそう言った
「そうね」
わたしは女の仮面をつけて肯定した
自由に生きられない理由を
仮面のせいにできるなんて
どんなに楽な考え方だろう
仮面さえなければ自由だなんて
素顔が一番素敵だなんて
たとえば
あなたはネットの海ではこのうえなく自由
画面のむこうのだれかを貶そうと燃やそうと
あなたは何をしてもいいのだもの
でもそれはあなたが
名無しの仮面をつけているから
あなたは素顔の時よりずっと自由
仮面をつけているから、あなたは自由
そもそも
仮面は誰かがあなたに強いたものではない
その仮面を作ったのはだれ？
それは他でもないあなた自身
あなたの言う仮面は仮面なんかじゃない
それがあなたの表皮
あなたの認めたくない素顔そのもの
さて、そろそろ
仮面のせいにして生きるの、やめませんか？