コーラス

ringoko
·

深い影

静かな緑

立ち尽くす街路樹は

見知らぬ森に降るのと同じ雨に濡れて

教えられたこともない歌を歌っていた

彼らは知らない

無数の木々の無数の葉も

鳥たちの歌声も

虫たちのオーケストラも

それでも

渇いた街の

疲れた家並みの

何十年も変わらず走る電車の

寂れた駅の

白い教会の

暗い川の流れの

すぐそばで

森と同じ雨にうたれて

木は歌う

コンクリートの箱のなかで

木は歌う

森の木々と同じ歌を

忘れないで

あなたも歌っているひとりの木

孤独でも寂しくても

いつの日かひとつの音楽に

ひとつの大きなコーラスに

あなたの歌もきっと、きっと

@ringoko
ほんのすこし、しずかななにかをおいておきたい