雨の降る夜は
雨の降る音に耳を澄ます
雪の降る夜は
雪の降る音に耳を澄ます
それなら晴れの夜は?
と問うと
彼女は望月のような笑みを浮かべて
こう言った
晴れの夜は
星の降る音に耳を澄ますの
ほら、かすかに聞こえるでしょう?
彼女の細い腕のなかで目を閉じる
……シャーン……シャーン
神楽の鈴のような音が聞こえてくる
すぐ隣にある鼓動よりも遥かにずっと遠くから
……いい音だね
いちばん好きな音が聞こえるよ
ね、素敵な音よね
わたしも好きなの
心地よい音と静かな呼吸がふたりを安らかなまどろみに導く
ふたりに降る星の音がやさしいものでありますように
ふたりを包む夜の闇があたたかなものでありますように
ふたりの分かちあう時間がいつでも幸いなものでありますように