私はコザクラインコの「ゆず」を飼っているのですが・・・
2年程前、私がゆずを放鳥させているとき、母親が帰宅、母はインターホンも鳴らさず玄関の扉を開けたのです。ゆずはオスなので、母親とはつがいであるかのような素振りを見せていましたから、母親に飛びつこうものなら、その勢いで扉の外に出て、上の方に飛んでしまいました。既に時計の針は18時を指しており、そのとき焦りに焦りながら、泣きそうになったのを堪え親友のHさんと住んでいるマンションの中を隈無く探しましたが、外の世界を知る由もないゆずを見つけられるはずがありませんでした。
もちろん警察には「落し物」として届け出を出し、迷子のインコの情報をSNSに上げました。私はその晩は眠れるはずもなく、翌日も、鬱々とした気持ちで雨に打たれながらも学校に通いました。
その日の帰宅後、SNSの情報を確認しながら、「もう、だめかな───」と弱音を吐きながら勉強机に座ろうとすると、1本の電話がありました。警察署からでした。
───ゆずは、生きていた。
犬や猫も迷子になるのは確かですが、はるかに体の小さいインコが見つかるのは奇跡でした。警察署曰く、私がかつて通っていた母校の中学校にゆずは飛んでいき、必死に助けを訴えていたのでした。コザクラインコは音は覚えますが言葉を覚えないので、「ピーー」という語彙だけで、その中学生たちが警察署まで届けてくださったそうなのです。
ありえないような奇跡に、私は泣く所か気の抜けた状態になり、「よかった、よかった」と思うだけでした。もう、同じことは繰り返したくはありません。
───今日はふとインコを見つめたときにこのときの話を思い出して綴ってみました。くれぐれも、ペットを放っているときは窓を開けっ放しにしたり、うっかり玄関の扉を開けないように・・・・・・