哀れなるものたち。待ってましたのヨルゴス・ランティモス監督

riroriro307
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前半、魚眼レンズでのぞき込むような映像が多く、映像に合わせたようなひずんだ音楽が印象的。

くすんだグレーがかった色味の硬質な画面も、ファンタジー味を強調してとても魅力的。(「ヒンターラント」をちょっと思い出した)なにより、ゴッドの作り出した?キメラ動物がうろつく屋敷が、ひゃー!待ってました!という感じなのである。

胎児の脳を移植されたベラがロボットのような動きや喋り方からだんだんこなれていく変化がすごい。

「ピグマリオン」の見立てかと思いきや、彼女を作り出したゴッド(顔がギタギタのフランケンシュタインぽい)も実の父に実験体にされていたエグい生い立ちが赤裸々に語られ、2人はいわば分身なのだと分かる。

そして、下心弁護士にそそのかされ、大冒険に出るベラ。

弁護士とのセックスにおぼれ、エッグタルトを食べ過ぎて吐く。社交を覚えアバンチュールを体験。読書を覚え哲学を知りペシミストと出会い、娼婦をしながら社会主義を知り、医学を学び、と旅の中で様々な価値観に出会い、成長するベラ。

体験を積み重ね心を獲得していくベラ。(どれもエグい描写だが)

人格を確立しロンドンに戻り婚約者と改めて結婚を決める。しかし、彼女の本当の過去が追いかけてくる。DV夫に軟禁されてしまい…。

そして、当然といえば当然?この監督らしいキテレツなハッピーエンドがやってくる!

好きな人にはたまらん映画でした。「ロブスター」好きな人、是非どうぞ。