世界に憎まれている。
動かない電車の中で、何度も背中にあたってくるおじさん。
駅構内の出口を塞ぐようにたむろする女子高生たち。
私を狙ってたゆたうたばこの煙。歩き煙草をするデブ。
必要以上にスロットルを押込み、爆音を撒き散らす二輪車。
定期券は対象外なポイントサービス。
世界が私を憎んでいる。世界が私を嫌っている。
いや、逆か。
私が世界を憎んでいるのだ。
慈悲も救いも情けも容赦も。
天の国か、はたまた地の国か。
すべてそちらへ預けてしまったような、空になった世界が。
まるで自分を鏡映しにしたようなそんな世界が。
きっと憎くて、憎くて、それでも嫌いになれなくて。
そうやって今日も私は生きるために食う。
生きるために寝る。