ないものに目を向けて生きていたから
とてもつらかったんだと今ならわかる
でも、そのないものは
見て見ぬ振りが出来ないくらいに
私が必要としているものだった
あの経験は不可避だったけど
いまわたしが平凡に普通のように
暮らせているのはそのおかげで
だから良かったんだなと思う
物心着いた頃から
自分の気持ちを表現することが
かなり苦手だったからか
よく代わりに絵や漫画を描いていた
妄想するその世界の主人公は
完璧でいつもわたしのこころを
救ってくれた
思えば発達障害があると自覚する前から
壁にぶつかっていて
毎日疲弊していたし
出来ないことが多くて
怒られて、でも出来ないから
ストレスが溜まって
毎日自分に足りないものを
突きつけられて
自分を嫌いになるしかなかった
家族だから仲良くするとか
友達だからずっと一緒とか
そういうことが難しくて
それはわたしの個性のせいなのだけど
人からはあまり理解されにくい
自分にないものにずっと
憧れがあるけどそれを
追いかけるのはもう疲れてしまったから
自分の顔も性格も個性も
すきじゃないけど受け入れて
普通の人みたいに生きて
いけたらそれでいいと思う
人と距離が近いと
自分を重ねてしまうから
わたしはある程度距離がある方が
暮らしやすいんだなと最近
とても感じている
好きだから一緒にいるのも
素敵だけど
それができないわたしみたいな
人間もいる
一人の時間が多ければ多いほど
昔の記憶を思い出してしまうけど
それはそれで別に辛くはない
あの時父親にもっと優しく
できていればとか
わたしがもっと空気の読める
賢い子供だったらとか
それはその時の私には
ない能力なんだから
しょうがない
でも、もしあったらどうだったかな
家族を幸せにできただろうか
自分も幸せだったかもしれない
そう思って小さなわたしが
幸せになっているところを
想像するだけでも結構満たされる
自分の欲は自分で全部
わかっている
わたしは結局は
自分が大好きになりたかった
そしてたくさんのひとから
愛されたかった
それが幼少期に満たされなかった
わたしの欲
呪いをといて
わたしも楽になれたらいいな