恍惚

Shiho Hashizume
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ニトリに買い物に行った。家具をたくさん買った。

キッチンの向かい側に開けているカウンターの下がデッドスペースになっていたので、そこに置く棚と、机、椅子など。

わたしは今一人暮らしをしていて、その一人暮らしは本来一年間限定の予定だったので、家具はレンタル品を使っていた。けれど、一人暮らしを延長することになったので、レンタル品を返すかわりに、買ったのだ。

ニトリの大型店舗へ行くのははじめてだった。最初、すべての家具をカートへ入れていくセルフシステムみたいな感じかと思って慌てたけれど、品番を言ったら店員さんがうまいこと全部やってくれたので助かった。

店員さんはすごく仕事ができる人という感じで、きびきびと会計までの案内をしてくれた。うれしかった。でも、ニトリではわたしは働けないだろうな、と思った。こんな難しい仕事。

わたしは今図書館で、アルバイトとして働いている。すごくやりがいがあって楽しいけれど、仕事を一通り覚えるまで二年かかった。まだ、できない業務がたくさんある。そういう時は、職員の方にお任せするのだけれど、つくづく見ていて、すごいなと思う。わたしは何十年かかっても、きびしそうだ。わたしはアルバイト形態でしかほとんど労働をしたことがない。

ニトリでは家具のほかに米びつも買った。わたしは日ごろほとんどお米を炊かず、パックご飯で済ませているのだけれど、新品の米びつと、お米を冷凍保存・解凍するプラスチックの容器が売られているのを見て、なんだかわたしもお米を炊く習慣ができるかもしれない、と思って買ってしまった。

プラスチックの容器は蒸気口をあけるキャップみたいなのがついていて、ほかほかのご飯を入れてしばらく粗熱をとって、そのまま冷凍庫にぽんと入れられ、電子レンジにも、キャップをとったらそのまま入れられるらしい。なるほど、便利だ。

家に帰ってから、米びつの蓋がなかなか閉まらなくて、15分くらい格闘した。閉まった。よかった。

@rita_hassy47
短歌をつくるしずかな猫。 歌集『地上絵』(書肆侃侃房、2021)の著者。