日記祭で買った、垂井真さんの本を読んだ。『たとえそれが最後だったとしても』、『読みかけの本の帯を手放す』、『あの夜のことだけど』の三冊。
日記の抜粋や電話から由来した詩が、うつくしくそこに滞在している。ユーモアと静けさのバランスがよくて、上等の装置で、感情を濾されているような気分になった。まず、本のつくりがとても丁寧で、装丁が凝っている。本を買ったのではなく、本を読む時間を買ったのだ、と思わせるようなすばらしさで、しばらく没頭した。季節と生活が寄り添う。静謐な作品を読むと、その潔癖さにあてられて、泥まみれの自分が嫌になることがしばしばあるのだが、この本ではそういう嫌な気持ちさえ抱かなかった。とてもよかった。