絶対

Shiho Hashizume
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しばらく日があいてしまった。

今日は、もう来ないだろうと思っていた、だいすきな歌手の方からのDMの返事が来たり、小説集の装画を描かれた方から告知をしていただいたり、いろいろとあわただしくうれしいことが立て続いたのに、気分は絶妙に沈んでいる。

ある文章を読んでいて、知恵熱みたいなのがでたのだ。

人を恐怖で動かそうとするタイプの暴力を見たような気がして、心をこわばらせたまま震えていたら、熱が出ていた。

でも、ご飯を食べたりしてすこし落ち着いたら熱はするすると下がった。

今日から「あすけん」の入力を再開した。バーコードで食べ物を読み取ればいいので、コンビニ食が多ければ多いほど、楽だ。わたしはコンビニが家からとても近く、よくコンビニ食をたべるのでうれしい。楽がすきだ。

ここを更新しないあいだ、いろいろなことが起きた。

まずはロックバンドのLIVEに行った。LIVEと呼ばれるものに行くのは本当に数年ぶりで、コロナ前だったか、もっと前だったか。すごく熱気のあるLIVEで、胸を打たれた。ともだちのともだちがボーカルをやっているバンドで、その方と終演後にご挨拶できたこともうれしかった。

その日には、大好きなバンド(上で書いた「だいすきな歌手」がボーカルをつとめている)の、いちばんすきなアルバムのリバイバルツアーが決定したことが告知された。うれしくて、うれしくて、もうリバイバルツアーはやらないものかと思っていたので、夢のようで、飛び上がった。京都・大阪・東京公演に行く予定(当たれば)。

あとは、友達とフリーマーケットに出た。服メインで、雑貨や本を売った。友達の本がとぶように売れてうれしかったけれど、わたしの持ってきたものの売上はまずまずだった。友達は出展料の半額を回収していたけれど、わたしはぎりぎり回収できなかった。あと、全部いらないものとはいえ、思い入れはまちまちで、なのに思い入れのあるものからなぜか順番に売れていくので、心が絶妙に参った。Hさんと植物園で偶然会った日に着ていた服は、値切りのしつこいおばあさんに150円で買われてしまった。中学生のときに友達のJさんからもらった便箋は、50円で小さな子どもが買ってくれて、それはほんのりうれしかった。

小説の最終稿にOKを出したりもした。もう、来週に入稿するらしい(デザイナーさんに委託している)。でも、いまさらになって、自分の小説に取り返しのつかないくらいの不適切な箇所、とくに差別的な表現などがないか、が心配になってびくびくしている。あらゆる側面の少数派の当事者として書いたつもりの作品ばかりではあるが、他の当事者のことを傷つけていないか、など、目に見えない、行き届かない部分で不足があるのではないか、すごく気になってしまって怖い。この恐怖を解消するためには、誰かに読んでもらったほうがいいのかもしれないが、ここまでいったら、自分の力だけで出すぞ、という心意気のほうが強くなってきてしまって、結局下読みしてもらわなかった。賞のいいところまでいった作品と、一度はどこかにあげた作品だけで構成されてはいるものの、恐怖はずっとずっとある。本を出すことは、ずっと怖い。怖くて楽しみだ。

好きなひとは体調をこわしている。なのでしばらく連絡がない。

大丈夫にならなければいけない。

@rita_hassy47
短歌をつくるしずかな猫。 歌集『地上絵』(書肆侃侃房、2021)の著者。