ID関連技術の啓蒙記事における対象読者の分類

ritou
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ritou です。

Digital Identity技術勉強会 #iddance Advent Calendar 2023 にシリーズ2ができたみたいなので書きます。

これまでアドカレをやったり参加したり、それ以外の時期でも普段からブログなどで記事を書いています。技術記事と言っても人それぞれ動機や種類はいろいろなわけですが、これを誰かに伝えたい という記事を書く場合、対象読者というのがあると思います。 残念ながら自分はあれこれやらせていただいた割に「説明がわかりやすい」と言われることが少なかった人生 を送ってきましたが、その反省の一つとして対象読者について整理したものを紹介します。

ざっくりと分類

自分の経験してきたところだと、だいたい3つに分けられると考えています。

  1. ID連携や認証プロトコルの仕様策定に関わったり、その仕様を実装する立場の人

  2. 特定の仕様を実装したライブラリやプロダクトを利用してサービスを提供する

  3. 2の人たちが作ったサービスの利用者となる人(と言っても開発者)

例えばパスキーでいうと、WebAuthnの仕様を読んでライブラリを書いたり、内製の自サービスで導入したり、さらには仕様策定の場にフィードバックしたりしている人たちが1です。この人たちに向けてというか、 「この仕様のこの部分、自分ではこう解釈しているけど合ってる?」 とか 「こんな要件を既存の仕様の組み合わせでできると思ってるんだがどうだろう」 みたいなのをざっとまとめた記事を書いて最先端のノウハウを教えてもらったりできると、自分としてはとてもとても嬉しい。

2については、 各仕様の詳細までしっかり理解はしていないかもしれないけど「この機能を実現するためにこんな仕様が使われている」みたいなところをある程度意識できる といったレベルの人たちです。 「裏ではこうなって動いているよ」「こう言う動きをさせたい場合はライブラリをこうやって使ったらいいと思うよ」「IDaaSのこの機能を有効にするとこんな動きをするようになったよ」などという記事を書いたりします。ある程度、ライブラリやプロダクトが出揃っているOIDCに関する記事だとイメージしやすいかもしれません。

一方、パスキーはまだライブラリをサクッと使って実装できる状態に至ってなかったり、IDaaSの設定ポチポチで導入完了!という状態とは言えないでしょう。その場合は 「この動きをさせたい場合はこの仕様のこの部分を有効にする必要があり、こう実装すると良い」と言う内容になることもあります。この場合は 2->1とレベルアップする/させるための記事 と言えるかもしれません。「IETF OAuth WGの仕様をなめてみた」みたいなのも仕様の読んで実装する段階に踏み込みたいけどきっかけが怖い、みたいな方の背中を押すことができるなら同じようなポジションの記事でしょう。(今年のぶん書くの忘れていた。あの記事を書くの、実はとてもつらい)

3についてはよりユーザーに近い層というところですが、一般の人は技術系の記事を読まないと思うので開発者でしょう。 なんとかの入門編とかで「これを押すとこうなります」レベルから噛み砕いていくようなものや「こういう機能を有効にするためにはスマホのこの設定をONにして...」みたいな記事がこのあたりを対象としていると思いますが、難しいことを簡単に説明するのは容易ではありません。自分は苦手です。どちらかというと「こう言う挙動があります。で、この裏で何がどうなっているかというと...」と繋げることで、記事を読んで 3->2にレベルアップする人が増えたらいいな という思いがあります。

割合、反応の違い

上記の分類をしたとして、割合を図にしてみましょう。

ア○パ○マ○の途中ではありません。

当然ながら1,2,3それぞれの割合は全然違うことは意識しておく必要があります。 古の評価指標としてはてブがありますが、対象読者の絶対数が違う記事では反応も当然異なります。自分がこれまで書いて比較的反応を頂いた「OAuth認証ダメ」「emailをキーにしたソーシャルログインだめ」「マネフォのログインのUX素晴らしい」「JWT...」みたいなところは対象読者が2や3となるので、ある程度反応があったのだと認識しています。一方で、新しい仕様を頑張って読んでまとめたった!みたいな1向けのディープな内容となるとなかなか絶対数としての反応は少ないものですが、詳しい人が自分の知らないことを教えてくれたりするコミュニケーションができると書いて良かったなと思います。

まとめ

  • 自分は対象読者を3つに分類している

  • それぞれに向けた記事を書くこともあれば、2->1, 3->2というレベルアップを促すような記事を書くこともある

  • それぞれの絶対数は違うので、反応があることが全てではない

いかがでしたでしょうか。こういうのは技術同人誌などでも同じことが言えるでしょう。自分がAuth屋さんの本を手伝うときなどは、この辺りの決めが絶妙だなーと思いながらレビューしています。対象読者を決め、そこに対して適切な内容を記事にすることで読み手も書き手も価値のあるものになるでしょうし、同人誌の場合は反応は売り上げみたいなのに反映されるわけなので、承認欲求とは別の意味で対象が多いところを狙っていくみたいな戦略もありそうです。

アウトプットを行うどなたかの参考になれば幸いです。ではまた。