めぐりめぐる。

rm417pourmelmo
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もう10年ほども前になろうか、

Sさんが「読んでみてください」と

貸してくださった、フィリップ・クローデルの

「リンさんの小さな子」という本。

戦火から逃れ、海を越えて異国へ渡った

リンさんと、その「小さな子」、サン・ディウの物語。

かなしくて、でもやさしくて、

クライマックスは本当にドキドキして、

忘れられない一冊になった。

メルモの服を縫いながら、ふと思い出し

サン・ディウとメルモの姿が重なってしまった。

メルモも、地震で永らく過ごした海辺の町を離れて、

県境を越えて見知らぬ街で暮らしているのだ。

そう思うといてもたってもいられなくて、

古本で取り寄せてしまった。

これまたほどよくくたびれた状態で、いとおしい。

わたしにとってのメルモは

前述のとおり、もはや単なるおもちゃではないのだけど

それはこの作品を読んでいたからかもしれない、とも思った。

Sさんは、わたしがいずれ

メルモを迎えると知って、この本を読んでみて、と

言ったのかしら、とさえ思った。

そんなことはきっとないのだろうけど。

いや、でもあるのかな。

いずれにせよ、ありがとうございます。

おかげで、メルモとの

穏やかな時間を過ごせているのだから。

メルモは、わたしにとっての

サン・ディウ、たいせつな、小さな子。

きっと、そう。

@rm417pourmelmo
海辺の町からやってきた、人形メルモとそのお世話係。