Kiwi Ears Quintetで中華イヤホンデビューをしました。
これまでも中華イヤホンに興味があった時期はあったんですが、家ではスピーカーがメインだったこともあり通勤用としての用途がメインで、最近はもっぱらANC(Active Noise Canceling)-TWS(True Wireless Stereo)が主力でした。
TWSの強みはANCだけでなく、DACやアンプを内蔵する必要があるので、それらと組み合わせた音作りをメーカー側で出来ることにあると思っています。半導体の微細化技術もどんどん進んでいるので、これからもまだまだ音質は向上していくのではないでしょうか。
ANCについてはSONY WH-1000XM3が火付け役になりましたね。BOSEはそれまでも優秀なANC機を出していましたが、ブームになったのはNC特有の違和感をかなり軽減できていたことと、SONYが出したからと思います。個人的にも往年のSONYが帰ってきたような気持ちになり嬉しかったです。
肝心の有線イヤホンはというと、上流(DAC、AMP)に気を使わないと行けず、とはいえポータブル用でまともな機材を持っていなかったため、あまり手をつけていなかった分野になります。一昔前までの上流機器は音質もあまりよくなく、それでいて嵩張ったりで、ずぼらな私にはどうしても無理でした。
ではなんで今はじめたかというと、スピーカー機材用ですが、RME ADI-2 DAC FSやTOPPIING A70Proなど据え置きヘッドホンアンプはそれなりのものが揃ったことと、ポータブルDAC/AMPの性能も上がり、小型軽量で低価格となった今なら楽しめるのではと感じています。まあスピーカー環境がほぼ完成してしまってそっちはもう手をつけるところが無いからというのもあるのですが…。あ、ポータブル用DAC/AMPとしてFiio KA1を買いました。
Fiio KA1も良かったの機会があれば別記事に起こしたいですね。
Kiwi Ears Quintetの話をする…前に、私の環境を記しておきます。大事。
音源:Amazon Music HD -> USB
DDC:GUSTARD DDC-U18 -> I2S
DAC:S.M.S.L D400EX -> XLR
AMP:TOPPING A70Pro -> 3.5mm SE
Kiwi Ears QuintetはDLC DD1基、BA2基、MPT1基、PZT1基という4種類5基のドライバーを詰め込んだイヤホンで、ネット上の評判はとても良く試聴もせずに購入したのですが、届いた初日の感想は正直失敗したという気持ちがとても強かったです。この時のケーブルもイヤピも標準で、音場は狭く、解像度も低く、特定の音域の刺さりが厳しく、低音だけ4畳半四方の空間で鳴っているような反響があり、各ドライバーがとりあえず全力で鳴らしてます!って感じで、とても音楽を楽しめるというものではありませんでした。
2日目、ある程度鳴らしたことで多少の変化は見られましたが、基本的な方向性は変わらずだったため、早々に手放すことも考え始めました。とはいえ、中華イヤホンはエージングに時間がかかるといった書き込みもあったり、ケーブルやイヤピで音が変わるなどの書き込みもあるので、もう少しあがいてみることにしました。
2pinのケーブルは手持ちがなかったのでNICEHCK LizPS 4N純銀ケーブルをAmazonで注文し、とりあえずイヤピだけcampfire audio ioに付属していたfinal Eタイプに変更したのですが、これで高域の刺さりはかなり解消されました。音場感も多少改善を示しました。
3日目、エージングが進んだのかかなり聞ける音になり、更に届いたケーブルに替えたことで、継続的に利用しても良さそう、というところに着地できました。そして夜には音楽として聞けるレベルとなり、曲を聞いて涙ぐむということも体験しました…。これはちょっと予想外で、音の傾向としては依然として好みではないと感じていた中で感動できたということで、試しにcampfire audio ioに切り替え同じ曲を聞いてみても、音は好みですがQuintetほどの感動は得られないという結果となりました。
今までオーディオはスピーカーがメインで、こうした機種ごとの違いをじっくり味わうことはなかったので、驚きもありましたし、イヤホンという手軽なジャンルだからこそ味わえる楽しさなのかなと感じています。
ちなみにエージングについては令和になっても賛否があるようですが、私はあると考えています。元々製造業で実験部署にいたこともあり、基本的に可動部のあるものは馴染みや劣化が起こるものですし、金属は腐食しますし、通電による変質などもあることを知っています。特に電気信号は導体の表面を流れやすい性質があるため、曲げによる変形や腐食による劣化などの影響を受けやすいのです。まあそれが人の聴覚で知覚できるか、有意差があるかというのとは別の話ではありますが、物理的な変化はある以上、それを知覚できてもおかしくないと思っています。人の感覚は時にとても曖昧ですが、時にとても敏感なので。
4日目、まあ今日なんですが、各ドライバーが調和し、とりあえず音を全力で出すだけという形から、音楽を音楽として鳴らせるという状態になりました。また、低音の違和感もかなり改善しています。刺さりも8割くらいはなくなりました。
音のイメージとしては、Monitor Audio GS60に近い印象を受けます。音を全部出すという印象は変わりませんが、アメリカンなイメージではなく、全体的にコンプを掛けたような鳴り方をします。基本的にオールジャンル行けますが、一部中高域に苦手とする音域、音があります。音場はイヤホンだとこれが普通なんですかね?スピーカーメイン勢としては狭く感じます。特に低音が耳の周りに纏わりつくのが好みではないですね。ただ、2000年前後のEDMではちょうど低音の増強分と当時の曲の低音の弱さが相殺されていい感じになります。また、クラシックなども聞けますが、観客席ではなく演奏者の位置で聴いているような感じになります。ホール感などは他の音で打ち消されてしまうので、そこが好きな人は注意してください。
最後に、このイヤホンで聴いて特によかった楽曲をアーティスト別に紹介して終わります。
光の中へ / 結束バンド
ザイオン / 星街すいせい
愛して愛して愛して / Ado
行かないで / 玉置浩二
I'm a mess / MY FIRST STORY
Dreaming / BT
When I Get There / PINK
BOY / King Gnu