生きとし生けるものはすべからく死を免れない。
いつからかそのことを体のどこかにしまいながら浮世の暮らしをして来たと思う。
身近にも祖父母、両親、姉、知人の夫、親戚の叔父や叔母やいとこも亡くなっている。
ひとたびニュースを見聞きすれば死は溢れかえっている。
自分がまだ生きているのが奇妙な気がする程だ。
そう言う見聞きして知る死と、わたしとは切っても切れない縁の人達の死は全くもって違うものだ。
普段の小さな物事でそう言った人達の死を思い出させるものにあってしまうと苦しい。
しかし、もし彼や彼女がまだ生きていたなら、死んだのでなければ、些細なことで嫌だなと思ったり腹を立てたりするのだ。
一度死んだ人は戻らないから、そんな考えは何の足しにもならないのはわかっている。
そして自分はまだ浮世に存在しているので、そんな事をつらつらと思うのだ、思わずにはいられないのだ。