デスクトップPCのメモリを16GBから32GBに交換した。
実用上何か大きな効用があるかといえば多分ないが、PCの部品を交換してスペックを上げるということにずっと憧れがあったのだ。
これまではやりたいと思ってもなかなか実行できなかった。下手に開けて壊してしまったらリカバリーできないし、中をのぞいてみてもなんか配線がごちゃごちゃしていて構造もよくわからないし、と先延ばしにしていたのだが、年末までで期限の切れるPC部品屋さんの金券があることから、勇を鼓してメモリを買ったのだ。
買ってみるととても小さな緑色の基盤に金メッキの部品がついているだけでなんの特徴もない。こんなものがたくさん並んでいても、型番を見ない限り性能の善し悪しなどどんな目利きでも分かるまいと思ってしまうが、PC部品の魚市場みたいなところでは見ただけでメモリの良し悪しを見抜く職人がいるのかもしれない。
さておき、ついに今日、PCの蓋をひらいた。元々のメモリが挿し込まれているところにはロックがかかっていたが、これはすぐに外せた。
新しいメモリの向きを確認し、差し込む。電源を入れ直し、画面につなぐ。
………映らない。
ファンは勢いよく回っているが、モニターは何も映さない。
やってしまったのだろうか?
メモリが壊れた?PCに合っていない?不良品?
様々な言葉が脳裏をよぎりつつも、ひと呼吸おいてネットで調べる。
様々な記事の中に、「「本当に?」と思うくらい強く押し込むとカチリと音がしてはまる」という個人ブログがあった。
どこかの誰かが部品交換していて、今の自分と同じように行き詰まったのだろう。そして、「本当に?」と迷いつつ強く挿し込んだ…。
私もそれを信じることにした。
ちゃんと真上から力が加わるようにPCを置く位置を調整し、ライトで照らし、基盤の必要な箇所だけに触れるようにして、そして、強く押し込む。さっきまでもわりと強めに押していたが、さらに、「本当に?」というくらい押し込む。「信じる」という気持ちを指先に加える。
カチリ、と音がしてメモリは深く挿さった。
2つセットなのでもう片方も同じようにすると、今回は「信じる」と思わなくてもカチリと挿さった。
モニターを付ける前から確信があった。今度は動く。